教皇フランシスコ、バチカン図書館主催の国際会議参加者と  2024年11月16日 バチカン宮殿 教皇フランシスコ、バチカン図書館主催の国際会議参加者と  2024年11月16日 バチカン宮殿  (Vatican Media)

教皇「出会いと自由な議論、平和を創出する図書館の役割」

教皇フランシスコは、バチカン図書館主催の国際会議の参加者とお会いになった。

 教皇フランシスコは、11月16日、バチカン図書館主催の国際会議の参加者とお会いになった。

 「他者に伝えるために保存し研究する−対話する図書館」をタイトルに掲げたこの会議では、日本を含む世界の国々から招かれた、図書館関係者や、図書館学、史料管理学、情報学等の研究者らが、図書コレクション、保存スペースの管理・拡大、直接的・遠隔的参照、新しいテクノロジーとコミュニケーション戦略、人工知能などをテーマに、研究の分かち合いを行った。

 教皇は会議参加者への挨拶で、具体的なテーマをめぐる図書館同士の対話は、今日、わたしたちが生きる新しい時代において、図書館の教育・文化的な可能性をより発展させるために、すべての人の助けとなるだろう、と述べられた。

 特に流動的な文化に浸されている新しい世代に、過去の遺産を意味ある形で伝え、彼らが現代を理解し、未来を希望をもって見つめ、新しい総括を生み出すことができるような確かな環境を作ること、教皇はそれを非常にエキサイティングなミッションとして図書館関係者に示された。

 こうした中、教皇は、ミラノのアンブロジアーナ図書館とバチカン図書館の館長を相次いで務め、研究者から「図書館長教皇」と呼ばれていたピオ11世(アキレ・ラッティ、在位:1922-1939)を回顧。

 二つの世界大戦の間の困難な時代、ヨーロッパが様々なイデオロギーに分裂する中で、バチカン図書館に新しいスペースを設け、体系的分類を助け、図書館員養成学校を開き、図書館を全体主義政権から迫害された研究者をはじめ、多くの研究者のための安全な場所とした、ピオ11世の功績を振り返った。

 そして、教皇は、ピオ11世の進取の精神と勇気、実現したその事業の具体性は、今日の文化的・社会的な重要課題を前に、時代に対応する必要をわたしたちに考えさせるもの、と述べ、図書館の仕事を大きく変えるテクノロジーや、特に古文書など、紙の史料の管理上の問題等に触れられた。

 過去の多くのケースに見るように、多くの文化的機関は戦争や暴力に対し非常に無防備な状態にある、と教皇は指摘。

 そのような意味で、歴史的遺産を守るだけでなく、知識を推進し、出会いと自由な議論のオアシスとしての平和な場所を創出する、図書館の役割を強調された。

 図書館を時間をかけた落ち着いた研究と考察の場とすること、すべての人に開かれた場とすること、真理の追求にあって現実を見失わないこと、地域とグローバルな世界の間の調和を保つことなどの指針を与えられた教皇は、関係者らに励ましと祝福をおくられた。

 

 

16 11月 2024, 18:13