ラトビア:教皇、アグロナでミサ「十字架の下のマリアの姿に学ぶ」
教皇フランシスコは、9月24日(月)午後、ラトビアの聖母巡礼の中心地、アグロナを訪れた。
アグロナは、ラトビア東南部の人口約2300人の小さな町で、ここに神の母に捧げた聖堂が造られたのは、17世紀のこと。アグロナとは、現地の古い言葉でモミの木を指すとおり、モミの森の中、ドミニコ会修道院の隣りに建てられた。当初の木造の小さな教会が18世紀に火災で焼失した後、バロック様式の教会に再建された。
同聖堂には「アグロナの神の母」と呼ばれるイコンが保管されており、ソ連時代、隣接の修道院が病院や集団農場の家畜小屋に転用されている時にも、
聖母の支えと慰めを求めて訪れる巡礼者たちは絶えることがなかった。
教皇聖ヨハネ・パウロ2世は、1993年のラトビア訪問の際、同地を巡礼している。
巡礼聖堂前の広場で行われた教皇ミサには、不安定な空模様にも関わらず、ラトビア全土から多くの信者たちが参加した。
ミサの説教で、教皇は、「ヨハネ福音書」(19,25-27)の、十字架のそばに立つマリアの姿、そして、イエスが母とそばにいる愛する弟子を見て、母に弟子を、弟子に母を託す場面を観想された。
教皇は、マリアはイエスの十字架の下に立ち、そこにとどまっていたと強調。
マリアの姿は、世界から拒絶され、迫害され、搾取され、社会の片隅に追いやられ、苦しむすべての人のそばにいるということを、わたしたちに教えると話された。
同時に、その姿は、ただそこにいるのではなく、苦しむ人の側に立って、その苦しみの現実を受け入れ、それを自分のものとして感じる必要を示していると語られた。
苦しむ人には、イエスの傷が開いていると述べた教皇は、わたしたちもまた人々の苦しみに触れ、マリアのようにそこにとどまり、神に心を向けながら、これらの人々の支えとなるよう招かれていると説かれた。
教皇は、十字架上でイエスが、母に「御覧なさい、あなたの子です」と愛する弟子を指し、そして弟子に「見なさい、あなたの母です」とマリアを示し、そのときから、弟子はイエスの母を自分の家に引き取ったことを、ミサに与るたびに思い出すようにと述べられた。
十字架の下で、マリアはわたしたちが御母の子となった喜びを、御子イエスはわたしたちが御母を引き取り、生活の中心にその存在を置くよう招かれたことを、思い出させてくださると教皇は指摘。
マリアから、十字架の下にとどまる勇気と、信仰のうちに人生のあらゆる状況に自分を従わせる謙遜を学ぶよう呼びかけられた。