教皇、「デジタル時代の共通善」を考えるセミナー参加者と
教皇フランシスコは、9月27日、「デジタル時代の共通善」をテーマとするセミナーの参加者に挨拶をおくられた。
このセミナーは、教皇庁の人間開発省と文化評議会の企画により、9月26日から29日までバチカンで開催されているもので、人工知能をはじめとするデジタル技術分野の目覚ましい発展が、社会・倫理・政治に与える影響を考察している。
教皇は、セミナー参加者への言葉で、これまでにない技術発展がもたらす新しい可能性を、倫理的な方法のもとに利用する必要を強調された。
テクノロジーの活用によるより良い世界は、その発展に共通善のビジョンや、自由・責任・兄弟愛をめぐる倫理を伴ってこそ可能になる、と教皇は話された。
共通善を、あらゆる個人のための善と分離することはできないと述べつつ、教皇は、テクノロジーを日常生活に導入する際、そのポジティブな側面が、人間の尊厳と自由を脅かす危険に変貌する可能性をも考慮するよう招かれた。
そして、その例として、ロボット技術が疲労と危険をもたらすある種の作業から人を解放する一方で、その効率と利益向上だけに注目するならば、多くの人の仕事と尊厳が脅かされることになる、と指摘。
また、人工知能が信頼に足る情報へのアクセスに大きく役立つ反面、偏向した世論や偽のデータを流布することで、何万という人々の意見を操作し、最後には市民の平和的共存を保証する制度自体をも危険に陥れることが可能である、と話された。
教皇は、テクノロジーの進歩が人々の間に不平等を広げるのならば、あるいは共通善の敵となるならば、それを真の発展と呼ぶことはできない、と説かれた。
こうした中、教皇は、あるシステムがいかに発達して効率的であろうとも、それが一人ひとりの人間のかけがえのない尊厳と貢献を価値づけることができない限り、皆さんの仕事は続くでしょうと、セミナー参加者らを励まされた。