教皇、カリタス・ローマの複合支援施設を訪問
教皇フランシスコは、11月29日、カリタス・ローマが運営する「愛のとりで」を訪問された。
この訪問は、ローマ教区カリタス(カリタス・ローマ)設立40周年を記念して行われた。
カリタスは、カトリック教会の、社会福祉、人道支援、救援活動などのための組織。バチカンを本部とし165か国が加盟する国際カリタスをはじめ、カリタスジャパンのような各国のカリタス、そして教区や小教区ごとのカリタスなど、様々なレベルで活動が行われている。
ローマ教区カリタスの活動は、支援を必要とする人々ための相談窓口、宿泊施設、食堂、診療所、支援物資配給所の運営や、自立支援活動、家庭訪問、またボランティア育成など、非常に幅広い。
教皇がこの日訪れたのは、ローマ・テルミニ駅のカリタス施設から、さらに数㎞離れた、カシリーナ通り近くにある「愛のとりで」。
「愛のとりで」は、カリタス・ローマが運営する複合支援施設で、敷地内には聖堂、宿泊施設、「連帯のためのマーケット」、食堂、歯科センターなどを備えている。
教皇はまず、聖ジャチンタ聖堂で祈られた。この聖堂の祭壇と説教台は、2006年に宣教先のトルコ北東トラブゾンで殺害されたローマ教区司祭、アンドレア・サントーロ神父の手によるものという。
教皇は次に、「連帯のためのマーケット」を訪れた。このマーケットは約500平方メートルの本格的なスーパーマーケットの外観を擁している。イタリアで初の「無料のスーパーマーケット」として、2008年に開設された。
このマーケットの「買い物」にはポイント制が導入されている。ローマ教区がその必要を認めた人・家族はあらかじめポイントの入ったカードを支給され、選んだ品物に応じて、レジでそのポイント数をカードから引き落とす仕組みになっている。
マーケットの次に教皇は食堂を訪れ、すずなりの人々に感謝を述べられた。
教皇は、食堂のホールに集った、宿泊施設に滞在中の移民や貧しい人々に祝福と励ましの言葉をおくられた。
教皇は、心臓の鼓動するところにいのちがある、互いに助け合い、友情の心臓をいつも鼓動させ、兄弟愛のしるしを示して欲しいと願われた。
この後、教皇は、会議場でおよそ220人のカリタス関係者およびボランティアの人々とお会いになった。
教皇は関係者への挨拶で、この施設に集う弱い立場の人々、また定住する場所を持たない人々の存在について触れつつ、これらの助けを求める人々に奉仕するには、わたしたち自身も弱い者であること、またわたしたちもイエスと共に旅する者であることを、自覚する必要があると話された。
また、設立40年を迎えたカリタス・ローマのこれからの活動を導くものとして、教皇は福音書の「善きサマリア人」(参照:ルカ福音書10章25-37)の姿を示された。
追いはぎに襲われた人を見て憐れに思い、近寄り、介抱し、宿屋に託してその費用まで払ったこのサマリア人は、宿屋の主人から見れば「変人」だったかもしれない、と教皇は述べた。
この法外な愛、弱い者が弱い者と助け合い、分かち合う心、それがこれからもカリタスの活動に必要ではないかと、話された。
教皇は施設の人々の温かい見送りを受けながら、バチカンに戻られた。