人類友愛国際デー:教皇「友愛は取り組むべき最前線の課題」
2月4日、国連の第一回目の「人類友愛国際デー」が記念された。
これを機会に、教皇フランシスコは、アル=アズハルのグランド・イマーム、アフマド・アル・タイーブ師らと共に、アブダビでムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子が主催したバーチャルミーティングに参加された。
このビデオによる集いでは、このたび「人類友愛のためのザイード賞」を受賞した、国連のアントニオ・グテーレス事務総長と、モロッコ系フランス人の活動家、ラティファ・イブン・ジアテンさんへのバーチャルな授与式も行われた。
このミーティングで教皇は、2年前の文書「世界平和と共存のための人類の兄弟愛(友愛)」に共同署名したアフマド・アル・タイーブ師に挨拶をおくり、ご自身の「兄弟」「友」「友愛のための闘いにおける挑戦と冒険の仲間」である同師に、深い感謝を述べられた。
教皇は、同師の勇気ある証しが、ご自身にとっての大きな支えになったと述べ、互いの助け合いを通して、決して容易ではないことを実現できたこと、友愛を目指す最初の歩みが、真の友愛の中で行なわれたことに、大きな喜びを表された。
同時に、教皇は、ムハンマド・ビン・ザーイド皇太子の、このプロジェクトを信じ、その歩みを進めるために尽くした多大な努力に感謝を表明された。
また、教皇は、このプロジェクトに豊かなアイデアと推進力をもたらした、人類友愛のための高等委員会事務局長、モハメド・マフムード・アブデル・サラム判事にもお礼を述べられた。
このように、友愛を目指すすべての人々に感謝された教皇は、友愛は今日人類が新たに取り組むべき最前線の課題であると強調。互いに兄弟となるか、破壊し合うかが問われていると話された。
今、無関心や、見ないふりをしている時間はもうない、と教皇は述べ、兄弟への道か、崩壊への道か、この前線に友愛を築くことは、今世紀の挑戦、課題である、と語られた。
友愛とは、手を差し伸べること、尊重すること、心を開いて耳を傾けることと、教皇は話すと共に、友愛とはまた、自分の信念を持つことでもある、なぜなら、自分たちの信念を曲げ合うようならば、そこに真の友愛はないからである、とも語られた。
わたしたちは、同じ父から生まれた兄弟であり、文化と伝統は異なっても、皆兄弟である、と述べた教皇は、互いの違いを尊重し合いながら友愛を築くことが必要、と話した。
今は、互いに耳を傾け、誠実に受け入れ合う時、と教皇は話し、兄弟のいない世界は、敵の世界となってしまう、と語られた。
また、敵を作るには、戦争の必要はなく、存在しないかのように他者を無視し、除外する態度だけで十分である、とも述べられた。
続いて、教皇は、このたび「人類友愛のためのザイード賞」を受賞した、アントニオ・グテーレス国連事務総長に向け、その平和への献身に感謝を表明。平和は兄弟としての心をもってこそ得られるもの、と話された。
そして、教皇はもう一人の受賞者、ラティファ・イブン・ジアテンさんに言葉をおくられた。
ジアテンさんは、2012年、テロのために息子のイマドさんを失う悲劇に見舞われた。ジアテンさんは、その後、テロ犯人と出会い、何が彼をこのような行為に向かわせたのかを知ろうとした。そして、亡くなった息子イマドさんの名をとった「若者と平和のためのイマド協会 」を設立し、若者たちの中に入り、宗教的過激主義の拡大を防ぐための活動を行ってきた。
教皇はジアテンさんに対し、「わたしたちは皆兄弟である」というあなたの言葉は苦しみと傷の中で形作られた一つの確信です、と話し、子を失うという母親にとって非常につらい出来事の中で、恨みのためでなく、微笑みのために人生を賭ける決意をしたジアテンさんの勇気を称えられた。
そして、ジアテンさんの証し、今や多くの少年少女たちの母となり、友愛の道を彼らに教えていることに、教皇は深い感謝を述べられた。