教皇、イラクの人々にビデオメッセージ、訪問を前に
教皇フランシスコは、3月5日(金)、イラク訪問に出発される。
教皇はこの訪問を翌日に控えた、3月4日(木)、同国の人々にビデオを通し挨拶をおくられた。
このビデオメッセージで、教皇は次のように話された。
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イラクの親愛なる兄弟姉妹の皆さん、あなたがたの上に平安がありますように!
間もなく、やっと念願がかない、わたしは皆さんとご一緒することができるでしょう。皆さんとお会いし、様々な顔を見つめ、古いたぐいまれな文明のゆりかごである皆さんのお国を訪れることを、わたしは強く望んでいました。
何年もの戦争とテロリズムの後、赦しと和解を主に祈り求めるため、心のなぐさめと傷のいやしを神に願うために、わたしは悔悛の巡礼者としてまいります。平和の巡礼者として訪れ、「あなたがたは皆兄弟です」(参照マタイ23,8)と繰り返すために。
そうです、平和の巡礼者として、兄弟愛の追求のもとに、皆さんのもとを訪れたいと思います。イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒を、ただ一つの家族として一致させる、父祖アブラハムのしるしのうちに、共に祈り、歩みたいという望みに動かされてまいります。
親愛なるキリスト教徒の皆さん、非常につらい試練の中でイエスにおける信仰を証ししたあなたがたに、お会いするのを待ちきれない思いです。
殉教者としての一つの教会との出会いを光栄に思います。皆さんの証しに感謝します。あなたがたが目にした多すぎるほどの殉教者たちの存在は、わたしたちが愛の謙遜な力をもって耐えることを助けてくれます。
皆さんの目にはいまだに破壊された家屋や冒涜された教会の姿が焼き付き、心には失った親しい人々と置き去りにした家々に対する傷が残っています。
わたしは皆さんに全教会の愛情あふれる思いをお伝えしたいと思います。全教会は、あなたがたと傷つき苦しむ中東に心を寄せ、皆さんが前に進めるようにと応援しています。
皆さんが体験した恐ろしい苦しみ、わたしの心を痛めるその苦しみが、これ以上大きくなることを許すことはできません。広がる悪を前にあきらめることはできません。
皆さんのお国の古い叡智の泉は、希望するすべもなかった時に、なおも望みを抱き(参照ローマ4,18)、神を信じて、天の星の数ほどの子孫を与えられたアブラハムのように、わたしたちを遠くに導き出します。親愛なる兄弟姉妹の皆さん、星を見上げましょう。わたしたちの約束はそこにあります。
親愛なる兄弟姉妹の皆さん、わたしはここ数年、皆さんのことを思い続けていました。皆さんは大きな苦しみの中にも、完全に打ちのめされることはありませんでした。
キリスト教徒、イスラム教徒、そして、ヤジディ教徒の皆さん。ヤジディ教徒の皆さんは非常に苦しみました。皆、すべての人は兄弟です。
これからわたしは、祝福されていると同時に、傷つけられた、皆さんの地を希望の巡礼者として訪れます。
ニネベからは、ヨナの預言が響いてきます。それはニネベの都の滅びを防ぎ、新しい希望、神の希望をもたらしました。
わたしたちも、復興と再出発を励ますこの希望に触れようではありませんか。
パンデミックによるこの困難な時代、兄弟愛を強めるべく助け合い、平和な未来を共に築きましょう。すべての宗教の兄弟姉妹たちと皆で力を合わせましょう。
数千年前、皆さんの地でアブラハムは歩み始めました。今は、わたしたちが、同じ精神をもって、平和の道を共に歩み続ける時です。
そのためにすべての皆さんに、いと高き神の平和と祝福を祈ります。
そして、すべての方々に、アブラハムのように希望のうちに歩むようお願い申し上げます。希望のうちに歩み、天の星を見つめ続けましょう。
皆さん、どうかわたしの訪問を祈りと共に見守ってください。ありがとうございました。