教皇、カナダの先住民寄宿学校で死亡の子どもたちに祈り
カナダのブリティッシュ・コロンビア州カムループスの先住民寄宿学校の跡地から、215人の子どもの遺体が発見された。
教皇フランシスコは、このニュースに衝撃と深い悲しみを表され、子どもたちのために沈黙の祈りを捧げられた。
カムループスの先住民寄宿学校は、カナダ政府がかつて行っていた先住民同化政策の一環として設立された教育施設の一つ。
1890年に設立された同校は、カトリック教会によって運営され、1960年代後半まで活動を続け、1978年に完全に閉校している。子どもたちの遺体は、学校の跡地の集団墓地から発見された。先住民寄宿学校に関する調査を行う団体によれば、これらの遺体の記録は現在のところ見つかっていないという。
カナダ司教協議会は、5月31日、この出来事に「大きな苦しみ」を表明。同国の先住民族共同体に対する寄り添いと努力を約束した。
教皇は、6月6日(日)の正午の祈りで、カナダの司教団および同国のカトリック教会と心を合わせ、この衝撃的なニュースに心を痛めるカナダ国民に精神的一致を表された。
そして、教皇は、この悲しい発見は過去の苦しみを知ることでいっそう大きくなった、と話された。
教皇は、カナダの政治・教会責任者らがこの悲劇の解明に確固とした協力を続け、和解といやしの道のりに取り組むことを望まれた。
また、教皇は、この試練の時は、植民地主義的モデルから遠ざかり、対話と相互尊重のうちに共に歩み、同国のすべての人々の権利と文化的価値を認めるようにと強く招いている、と話された。
カナダの先住民寄宿学校で亡くなったすべての子どもたちの魂を主に託すと共に、悲しみに暮れる遺族と先住民共同体に心を寄せられた教皇は、沈黙の祈りを捧げられた。
カナダでは、1863年から1998年までの間に、およそ15万人の先住民の子どもたちが家族から引き離され、寄宿学校での生活を強制された。全国に139校あったこうした寄宿学校では、同化政策のもとに、子どもたちは民族固有の言語を話すことを禁じられ、虐待されることもしばしばであったという。
先住民寄宿学校制度に関する真実と和解委員会が5年前に発表した約4千ページにわたる資料は、先住民の子どもたちに対する虐待の詳細や、その虐待や子どもたちの世話における放棄・怠慢のために少なくとも3千2百人の子どもたちが亡くなったことを記している。今後、政府や関係者らの努力によってこの問題のさらなる解明が行われることが望まれている。