欧州二カ国訪問:教皇、帰国便機内で記者団と対話
教皇フランシスコは、9月12日から15日まで、第34回目の海外司牧訪問として、ハンガリーとスロバキアを訪れた。
15日、スロバキア訪問終了後、帰国のための特別機の機内で、教皇は随行の記者団と対話された。
ハンガリー訪問について、教皇は、ハンガリーの人々の持つ多くの価値の中でも、特にエキュメニズムの持つ深い意味に感銘を受けたと話した。
ハンガリーの大統領と首相との会談では、エコロジーが話題に上がり、どのように川をきれいにするかの説明を受けたが、ハンガリーの人々のエコロジー問題に対する意識の高さに脱帽する、と述べた。このほか、国民の平均年齢など、人口統計上の傾向をめぐり、若い人たちの結婚を助ける政策を大統領が説明した、と話した。移民問題はテーマに上らなかったという。
ヨーロッパのキリスト教の印象をめぐり、教皇は、欧州連合は何かをするための集まりではなく、その基礎にはこの構想を夢見た人々の精神がある、と述べ、欧州連合が単なる管理機関になってしまう危険を指摘しつつ、ヨーロッパの根源にある精神性を追求し、それを伝える必要を説いた。
スロバキアでは新型コロナウイルスのワクチンがキリスト教信者を分裂させているが、ワクチン接種を受けることは愛の行為であると言う教皇は、この状況をどう見るか、という問いに対し、教皇は、はしかやポリオなど、ワクチンの恩恵を受けてきた人類の歴史に触れ、ワクチンをめぐる過激な世論は、おそらく不安から来ており、その不安はパンデミックだけから来るのではない、と語った。
聖体拝領と堕胎をめぐる問題について、米国では人工妊娠中絶の合法化を支持する政治家の聖体拝領を拒むべきかという論争があり、ある司教たちはそうあるべきと言い、ある司教らは聖体を(政争の)武器のように使うべきでないと言い、司教の間でも意見が割れているが、教皇はここ数年間に公的に誰かに聖体を拒んだことがあるか、と米国のジャーナリストが尋ねた。
これに対し、教皇は、誰かに聖体を授けることを拒んだことはこれまで一回もないが、こうした状態にある人が(聖体を拝領に)来たかは知らない、と答えた。一方で、人工妊娠中絶について、教皇は、堕胎は単なる問題を超えて、それは殺人である、と強調。胎児は一人のいのちある人間であり、人間のいのちは尊重されなければならない、この原則は明確なもの、と話した。
同性愛者の結婚を認めるかどうか、という問題をいかに考えるか、という質問に、教皇は、結婚は一つの秘跡であり、教会は主が制定した秘跡を変える力を持たない、と答えた。教皇は、異なる性的指向を持つ多くの人々の状況を助けようとする法律があることに言及しながら、国々がこれらの人々を市民的に支援することは重要であると述べた。わたしたちは兄弟姉妹であるこれらの人々に寄り添い、教会は彼らを助けるが、結婚の秘跡は別の問題であると述べた。