「偏見から対話へ、閉鎖から融合へ」教皇、ロマ共同体と交流
9月14日、スロバキア東部に赴いた教皇フランシスコは、コシツエで、ロマ共同体を訪ねた。
コシツエ郊外のルニクIX地区には、スロバキアで最も大きいロマ共同体があり、現在、推定約4300人が暮らしている。
同地区は1970年代に主に軍関係者の居住区として建設されたが、80年代に入り、次第にロマの住民の割合が増していった。
今日の同地区の集合住宅は、建物の老朽化が著しく、ガス・水道は一日数時間しか使用できず、共同の暖房設備もない。こうした住居の問題や治安の不安もあり、多くの人々がこの地区を離れて行った。
人々から忘れられた同地区で、サレジオ会が活動を始めたのは、2008年のこと。以来13年間、特に若者や子どもたちの育成を通して、熱心な司牧活動が続けられている。
同地区への教皇の訪問は、人々にとって思いがけない喜びとなった。教皇は住民たちの歌や演奏による歓迎を受けられた。
この集いでは、ロマの人々が日常的に接している差別や先入観、未来への希望などを語った。
教皇は挨拶の中で、決めつけや先入観を持つことは、人の間の距離を増すだけであると述べ、住民のゲットー化は何も解決しない、と話した。
他者に対して閉ざすことは、怒りをかき立てるのみ、と話す教皇は、平和的共存の道は融合にある、と強調した。
人々の尊厳を取り戻すためには、偏見から対話へ、閉鎖から融合へと移ることが必要、と説かれた。
こうした中、教皇は、ロマ共同体に根差し、様々な苦労や時には無理解と闘いながら活動を続けるサレジオ会のグループの「社会福祉主義的ではない、人々への寄り添い」に感謝された。
教皇は、ロマ共同体の人々に、相互の信頼を育てながら、日ごとのパンを得るための正直な仕事を通して、怖れや過去の傷を一歩ずつ乗り越え、前に進んで欲しい、と励ましをおくられた。