ギリシャ:教皇「貧しい人々を押し戻すことは平和を押し戻すこと」
教皇フランシスコは、ギリシャ訪問の二日目、12月5日(日)、レスボス島で難民・移民たちとお会いになった。
教皇フランシスコが同島で、難民・移民たちと出会うのは、2016年4月以来、二度目となった。
この朝、アテネからレスボス島南東部、主都ミティリニの空港に到着された教皇は、さらに車で郊外の海岸地帯にある移民受入・登録センターへと向かわれた。
ミティリニの移民受入・登録センターは、モリア難民キャンプに代わる施設として、新しく整備されたもの。モリア難民キャンプは、当時ヨーロッパで最大の移民のための施設だったが、2020年9月に大規模な火災で焼失した。教皇は2016年のレスボス島訪問で、モリアのキャンプを、正教会のバルトロメオス1世総主教とイエロニモス2世大主教と共に訪問している。
カリタス・ヘラスの関係者によれば、ミティリニ島に寄留する移民の数は現在約3千人で、5年前の約2万5千人と比較し、80%以上減少したが、ギリシャ国内全体では10万人を上回るという。
同センターを訪れた教皇は、若者や子どもたちを中心に、出身地も様々な移民たちに励ましを与えられた。
教皇の移民センター訪問には、サケラロプル大統領も参加した。集いの中では、移民とボランティアを代表して、コンゴ民主共和国からの難民申請者、地元のカトリック信者が、それぞれの立場から、困難や希望、連帯の体験を語った。
教皇はこの席で、移民現象は世界の問題であり、皆に関わる人道危機である、と述べ、気候変動やパンデミックからもわかるように、大きな問題に対し、断片的解決では対処できず、皆が問題に取り組むことが必要、と話された。
しかしながら、パンデミックに対して世界規模でワクチン接種を進める努力がなされ、気候変動との闘いに対しても遅れや不確実性の中にも動きが見られる一方、移民問題はまるで押し隠されているように見える、と教皇は語られた。
これは、人間の命に関わる問題、皆の未来に関わる問題である、と述べた教皇は、統合によってこそ、また、最も弱い立場の人々と和解してこそ、平和で繁栄した未来があるだろう、と説かれた。
そして、教皇は、「貧しい人々を押し戻すことは、平和を押し戻すこと」と強調された。
教皇は、兄弟姉妹である移民たちの顔・眼差しは、わたしたちに、目をそらさないように、同じ人間である者たちを拒まないように、彼らの経験を自らのものとし、その悲劇を忘れないようにと訴えている、と話された。
身ごもった親類エリザベトのもとに急いで出かけたマリアを思い起こされた教皇は、聖母が、苦しむ人に駆け寄ることを教えてくださるようにと願いながら、お告げの祈りを唱えられた。