教皇「カナダの先住民を傷つけた教会関係者のために悲しみ」

　4月1日、カナダの先住民の使節団のバチカン訪問最終日、教皇フランシスコは、使節のメンバー全員とお会いになった。

　ここ数日、バチカンに、カナダのかつての先住民同化政策下におけるカトリック教会運営の寄宿学校での悲劇に対する真相の究明と、正義の追求、いやしと和解の歩みを求め、イヌイット、メティス、ファーストネーションの3つのグループからなる、先住民の使節団が訪れていた。

　教皇はこの間それぞれのグループと会見し、人々の苦しみの体験に耳を傾けられた。

　この日、教皇は使節のすべてのメンバーに挨拶をおくり、その中で、植民地主義的イデオロギーによって、カナダの先住民の多くの人が、独自の文化や伝統、土地や環境との結びつきを断たれ、家族と引き離されるという悲劇を体験させられたことに、ご自身の深い悲しみと恥の念を表明、カナダの司教らと謝罪のうちに一致したい、と話された。

　今回、使節の人々の声を通し、先住民が受けた苦しみ、差別、搾取に大きな悲しみをもって触れた、と語った教皇は、特に劣等感を植え付け、文化的アイデンティティーや伝統を根絶しようとする考え方に震撼させられたと述べると共に、こうした体験が先住民の人々に与えた世代にわたるトラウマを指摘された。

　教皇は、搾取や尊重の欠如によって先住民たちを傷つけたカトリック関係者、特に教育責任者たちのために、悲しみと恥を感じる、と話し、これらの行為のすべてはイエスの福音に反するもの、と強調された。

　このたびの出会いが、共に進むべきさらなる道を開くことを願いつつ、教皇は、兄弟愛の精神のもと透明性ある真相追求といやしと和解の推進に取り組むよう、司教はじめカトリック関係者らを励まされた、

　教皇は、カナダの先住民の土地を訪れ、直接ご自身の寄り添いを伝えることができれば幸いである、とカナダ訪問への意志を表された。