教皇「高齢者たちは世界を守るよう召されている」
教皇フランシスコは、7月に記念される「祖父母と高齢者のための世界祈願日」に先立ち、メッセージを発表された。
カトリック教会の「祖父母と高齢者のための世界祈願日」は、イエスの祖父母、聖ヨアキムと聖アンナの日(7月26日)に近い、7月第4日曜日に行われるもの。
2022年度は、7月24日(日)に記念される。
教皇は同祈願日に向けたメッセージで、「白髪になってもなお実を結ぶ」(詩編92,15)という今年のテーマを、老年に諦めを抱き、未来の希望を感じない一部のお年寄りたち、また年齢にしばられた見方をしがちな世界への福音として示された。
「切り捨ての文化」が、高齢者など弱い人々を遠ざける一方で、聖書が教えるように長生きは一つの祝福であり、命を豊かに与える神の愛の生きたしるしである、と記す教皇は、高齢者を守る家、祖父母を敬う家庭を神が祝してくださるように、と願われた。
確かに高齢は理解の難しい人生の季節であり、生涯の長い歩みの後で、あたかも突然現れるものかのようである。高度に発達した社会では高齢期のために多くを投資し、その支援の計画は提供しても、老齢の意義を理解する助けは与えてくれない。老いを隠し、若さをよそおう努力はしても、老齢そのものの実りを諦めている、と教皇は指摘。
高齢者たちは自分を無用な存在と考えがちだが、人生のすべての季節においでになる神は、お年寄りにも命を与え続け、多くの問題を抱える高齢者たちを見捨てることはない、と、神への信頼の必要を説かれた。
こうした中、教皇は、お年寄りたちに、自分を注意深く見つめ、内的生活を育み、霊的な観点からも活発な高齢期を送ることを学ぼう、と招いている。そして、神との関係と共に、特に家族をはじめ、人々との関係を築き、そこに愛情と配慮をもたらすようにと勧められた。
今日、世界はパンデミックの嵐に続き、平和と発展を脅かす戦争を体験している、と述べた教皇は、この時代にあって、高齢者たちは世界を守るように召されている、と強調。
具体的な支援や祈りを通して、ウクライナや、アフガニスタン、南スーダンなどの子どもたち、まだ見たことのないこのたくさんの「孫」たちを心に留めようと、お年寄りたちにアピールされた。
そして、教皇は、こうした働きかけを通して、今日の世界において「優しさの革命」を実現する者となるよう、高齢者らを励まされた。