「世界家庭大会」始まる、バチカンで開会フェスティバル

カトリック教会の「第10回世界家庭大会」が、6月22日(水)開幕し、バチカンで開会フェスティバルが催された。

 カトリック教会の「第10回世界家庭大会」が、6月22日(水)、バチカンでの開会フェスティバルと共に幕開けした。

 これによって26日(日)まで、5日間の大会の歩みが始まった。

 22日午後、バチカンのパウロ6世ホールで催された開会フェスティバルには、今大会のためにローマを訪れた世界各国の家族らが参加した。

 オーケストラ演奏やグループ唱などに彩られたこの集いでは、前半に、ウクライナのキエフの小教区からの中継や、この大会の保護者である福者クアトロッキ夫妻の孫の証言などが行われた。

 中盤、教皇フランシスコを迎え、5つのテーマに沿って、5組の夫婦・家族の信仰の体験が語られた。

 「結婚への招き」をテーマにした証言では、若くして知り合い、子に恵まれながらも、教会への疎遠感によって、秘跡としての結婚を諦めていたカップルが、パンデミック中の育児の苦労をキリスト教的価値観を持つある夫婦とソーシャルネットワーク上で分かち合ううちに、神への信頼や、信仰に基づいた家庭生活のあり方に目覚め、教会での結婚を望むようになった、というストーリーが語られた。

 次に「聖性への招き」をテーマに、2018年、列福調査が開始された、キアラ・コルベッラ(イタリア1984-2012)の両親が証言。妊娠中に病気が発見されたが、出産までは胎内の子に影響を与える治療を行わない選択をし、無事、子を出産。その後、必要とされる治療を受けたものの、およそ1年後に天に召された神のしもめキアラの信仰と愛を振り返った。

 「赦しへの招き」をめぐり、結婚して27年、3人の子がいるコンゴ人の夫妻が、彼らの結婚生活の起伏を語った。夫の不誠実を理由に離婚を決意し別居した妻が、家庭の大切さに回心した夫の勧めで、教会の家庭司牧のグループのカウンセリングやケアを夫婦で受けることで、夫をようやく赦せるようになり、再び結婚生活を立て直した体験を話した。

 「受容への招き」では、ローマ在住の6人の子を持つ夫婦が、家族で話し合った結果、戦争でイタリアに避難してきたウクライナ人の母子を家に受け入れることにした、その経緯を紹介。日頃教会や周囲から支えられ、受け入れられていると感じている自分たちが、今度は他者を受け入れることを望んだ、その自然な流れと、連帯の喜びが語られた。

 また、現在この家族のもとで暮らすウクライナ人が、戦争の恐怖と、離別の苦しみ、生活の不安を告白すると共に、信仰と、避難先での温かい人間性との出会いによる救いに感謝を表した。

 最後に「兄弟愛への招き」として、2021年、コンゴ民主共和国で武装集団の銃撃に巻き込まれ殺害されたイタリアのルカ・アタナシオ大使の夫人による証言が行われた。モロッコ出身、イスラム教徒であるザキア夫人は、イタリア人でカトリック信者の夫との、国籍や宗教を超えた、尊重と調和に満ちた家庭生活を振り返った。世界食糧計画のプロジェクトのために移動中、殺害されたアタナシオ大使の人道活動を紹介した夫人は、天国の夫に支えられながら、残された娘たちと共に愛と平和と正義のために努力し、夫が遺したプロジェクトを受け継いでいきたい、と述べた。

 教皇はこれらの証言の一つひとつに耳を傾けた後、世界の家族に挨拶をおくられた。

 この中で教皇は、すべての家族に、彼らがいる場所、それぞれの家庭が持つ具体的な状況において、ご自身の寄り添いを伝えたい、と述べられた。

 そして、まさに各家族が置かれたその現実的な状況から、配偶者と、家族と、教会と、共に歩み出す努力をして欲しい、と励まされた。

 教会とは「善きサマリア人」のように、家族たちに寄り添い、どんなに小さな歩みでも、その「もう一歩」を踏み出せるように、彼らを助けるものであって欲しい、と教皇は語った。

 その「もう一歩」の目標として、教皇は先の家族たちの証言のテーマに沿って、「結婚へのもう一歩」「十字架を抱くためのもう一歩」「赦しへのもう一歩」「受け入れへのもう一歩」「兄弟愛へのもう一歩」の5つを挙げられた。

 教皇は、それぞれの家族が世界において果たすべき使命、もたらすべき証しを持っている、と述べ、家族らを励まされた。

 集いの終わりに、教皇は会場の参加者と世界中の家族に祝福をおくられた。

22 6月 2022, 22:47