核兵器禁止条約第1回締約国会議に教皇のメッセージ
核兵器禁止条約の第1回締約国会議が、オーストリアの首都ウィーンで6月21日(火)より3日間の日程で始まった。
教皇フランシスコは、オーストリア外務省軍縮局長でこの会議の議長を務めるアレクサンダー・クメント大使にメッセージをおくられた。
会議初日、教皇のメッセージはバチカンの外務局長ポール・リチャード・ギャラガー大司教によって読み上げられた。
メッセージの中で教皇は、今日の状況において、軍縮について語ること、あるいはそれを支持することは多くの人には矛盾したものに見えるだろう、と述べつつ、それにもかかわらず、国内と世界の安全、兵器拡散のリスクをめぐる近視眼的アプローチの危険を自覚する必要を説いている。
そして、もしわたしたちが軍縮に取り組まないならば、その代価として払われるのは無実の人々の命である、と記す教皇は、すべての武器を収め、疲れを知らぬ交渉を介して紛争の原因を排除するようにとのアピールを繰り返された。
また、教皇は、ある人々の安全と平和が、集団の安全や他者の平和とは切り離されたものだと思うのは、錯覚的で非生産的な考え方である、と述べ、新型コロナウイルスによるパンデミックが与えた教訓を思い起こした。
教皇は、「教皇庁は、核兵器のない世界は必要かつ可能と確信する」と表明。
核兵器は重大で危険な責任を負わせ、「一種の平和」の幻想を与えながらリスクを増大させるものと指摘しつつ、教皇は「核兵器の使用および保有は倫理に反する」と改めて強調された。
さらに「国際的な軍縮合意や国際法に加わること、またそれを尊重することは、弱さを表すものではない」と述べた教皇は、むしろ、それは信頼と安定を育む、強さと責任の源となり、この条約においてそうであるように、被害者援助と環境の修復に国際的協力を提供することになる、と指摘している。
こうした中、教皇は、広島と長崎の原爆の被爆者はもとより、核兵器実験のすべての犠牲者に思いを向けられた。
教皇は、核兵器禁止条約の実施の基礎作りと共に、人間の尊厳と兄弟愛に基づく命の文化と平和への道のりを励まされた。