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教皇「宗教が平和への願いに答えるものであるように」

教皇フランシスコは、カザフスタンで開催された宗教指導者会議に出席された。

 教皇フランシスコは、9月14日(水)、カザフスタンで開催された「第7回世界伝統宗教指導者会議」に出席された。

 同会議は、2003年、カザフスタンの首都アスタナ(現在のヌルスルタン)で初めて開かれ、以来3年ごとに回を重ねてきた。2021年に予定されていた会議は、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で1年延期され、今年の開催となった。

 首都ヌルスルタンの独立宮殿で、9月14日と15日の両日開かれる今回の会議には、世界のおよそ50か国から、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、仏教などの指導者ら81名が参加。教皇フランシスコは、同会議にローマ教皇として初めて出席した。

 初日、会議は宗教リーダーたちによる沈黙の祈りによって開会した。

 前日、教皇はカザフスタン到着後の各界代表との会見で、同国の伝統楽器「ドンブラ」をモチーフに挨拶をおくられたが、この会議では、同国で深く尊敬される詩人・作曲家・哲学者・教育者で、しばしばドンブラと共に描かれる、アバイ・クナンバイウル(1845-1904)の言葉を豊かに引用しつつ、スピーチを行われた。

 カザフスタンの人々から「アバイ」と呼ばれ親しまれるこの国民的詩人をめぐり、教皇はその作品にしみわたる宗教性と民族性、調和のとれた賢明さ、平和への思い、自己の洞察、人間としての叡智の探求の姿勢を見つめられた。

 「いのちの美しさとは何であろう。もしその深きをさぐらぬならば」という、アバイの言葉を引きながら、教皇は、人間は究極の問いに意味を見出し、霊性を育むことを必要とする存在である、と述べられた。

 また、「目覚めた魂、澄んだ精神」の必要をアバイが語るように、世界はわたしたちから、目覚めた魂と澄んだ精神の模範、真の宗教性を待ち望んでいる、と話された。

 そして、教皇は、今こそあらゆる信仰を汚し腐敗させる原理主義から目を覚まし、心を清めてあわれみ深くする時である、と呼びかけた。

 かつてこの地域が数十年にわたり無神論的国家の影響を受け、「宗教」という言葉さえ使うことが困難であった時代を振り返った教皇は、実際には、宗教は問題ではなく、むしろ、それはより調和した共存のための解決を形作る要素である、と指摘。

 こうした中、教皇は、「宗教がすべての人が心に抱える世界平和への切なる願い、無限の存在への渇きに答えるものであるように」と説かれた。

 教皇は「宗教の自由」を人類の統合的発展に不可欠な条件、本質的で譲ることのできない権利として示し、他者に強制することなしに、自分の信仰を公に証しすることは、すべての人の権利である、と強調された。

 また、教皇は今日の世界におけるグローバルな課題として、「人間の脆さを知り、いたわるパンデミック対応」、「平和への挑戦」、「兄弟的な受け入れ」「環境保護」を挙げられた。

 教皇は、諸宗教が各自のアイデンティティーを守りながら、友好と兄弟愛のうちに共に歩み、暗い現代を創造主の光で照らすことができるようにと願われた。

14 9月 2022, 14:36