「小さいことは一つの恵み」教皇、カザフスタンの教会に励まし
教皇フランシスコの3日間にわたるカザフスタン訪問は、9月15日(木)、最終日を迎えた。
同日午前、教皇は首都ヌルスルタンのカテドラルで、同国のカトリック教会関係者とお会いになった。
「絶えざる御助けの聖母」に捧げられたカテドラルには、カザフスタンの司教、司祭、助祭、修道者、神学生、そして教会活動に携わる信徒たちが集った。また、中央アジア司教協議会からも周辺諸国の司教たちが訪れた。
教皇と同国内でごく少数を占めるカトリック信者たちの「小さな群れ」との出会いは、聖歌や伝統楽器の調べに彩られ、温かい雰囲気に満ちたものとなった。
教会関係者への挨拶で、教皇は、宣教者たちを通して古くから中央アジアにもたらされたキリスト教の歴史を振り返り、この地に教会や巡礼聖堂、修道院などを築き共同体を育てていった先人たち、また信仰の伝承の主役であった多くの普通の人々、祖父母や両親のたちの記憶を大切に守るよう招かれた。
一方で教皇は、過去の記憶は自分たちをその殻に閉じ込めるものであってはならないとも述べ、その記憶を力に、未来に向けて自らを開いていくよう、教会関係者らを励まされた。
教皇は、「心の貧しい人々は、幸いである」(マタイ5,3)とイエスが言われるように、小さい存在であることは謙遜に神の力に委ねることを教えるがゆえに、「小さいことは一つの恵みである」と、カザフスタンの教会を勇気づけられた。
同時に、教皇は、小さい者であることは、自分の力だけでは生きていけないことを思い出させる、と指摘。わたしたちは神を、他者を、異なる宗教の兄弟姉妹たち、すべての善意の人々を必要とし、皆が共にいて、対話し、受け入れ合ってこそ、真に皆のための善を実現することができる、と説かれた。
この集いで、教皇はカテドラルに新しく掲げられた聖母子画「ステップ(草原)の聖母」を祝別されたが、イスラム教徒の画家が制作したこの聖画は、同国における諸宗教の共存と対話を象徴するものとなった。
信仰の遺産と証しを喜びをもって生きるよう呼びかけながら、教皇はカザフスタンのカトリック教会を聖母の保護に託し、信者たちに祝福を与えられた。