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「聖週間」始まる:教皇、バチカンで「受難の主日」のミサ

「聖週間」の初日、「受難の主日」、教皇フランシスコは、バチカンでミサをとりおこなわれた。

 カトリック教会の典礼暦は、4月2日(日)、復活祭直前の一週間「聖週間」を迎えた。

 呼吸器感染症のために入院していたローマのジェメッリ病院を前日4月1日(土)に退院された教皇は、この朝「受難の主日」のミサをバチカンの聖ペトロ広場でとり行われた。

 ミサには、およそ6万人の信者が参加した。

 キリストの受難を記念する「聖週間」の歩みの初日、「枝の主日」とも呼ばれる「受難の主日」には、イエスのエルサレム入城の際、民衆が歓呼してイエスを迎え、その足元に服や木の枝を敷いた出来事を思い起こし、ミサの前にオリーブやしゅろなどの枝を手に宗教行列が行われる。

 この宗教行列で用いられる「枝」の中には、「パルムレロ」と呼ばれる、しゅろの葉を編んだものもある。バチカンには、16世紀、教皇シスト5世の時代より、イタリアのリグーリア地方から「パルムレロ」がもたらされてきた。

 広場に白いジープで到着した教皇は、オベリスク前でミサ参加者らが持つ枝を祝別。この後、聖職者・修道者・信徒の代表らが、賛歌の調べの中、枝を掲げ、大聖堂前の祭壇に向かって行列した。

 続いて捧げられたミサでは、教皇は「開祭」「ことばの典礼」「閉祭」を、枢機卿団の副主席レオナルド・サンドリ枢機卿が「感謝の典礼」を司式した。

 ミサ中の福音朗読では、マタイ福音書から主の受難(27,11-54)が朗読された。

 教皇は説教で、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」(マタイ27,46)という、十字架上のイエスが受難の苦しみの頂点で叫ばれた言葉を観想された。

 「神から愛された御ひとり子イエスが、これほどの状況までに至ったのはなぜなのか。その答えはただ一つ、わたしたちのためであった」と教皇は強調。

 「イエスはわたしたちと共にいるために究極まで連帯された。それはわたしたちの誰一人、孤独や悲嘆の中に見捨てられないためであった」と述べられた。

 十字架上のイエスは絶望にとらわれたままでいることなく、神に祈り、神にご自身を託される。「『わたしの神よ、わたしの神よ、なぜわたしをお見捨てになるのか』(詩編22,2)という詩編の言葉を叫びながら、イエスはご自身の霊を御父の御手にゆだね(参照 ルカ23,46)、見捨てられた中で神に信頼された。それだけではない。その究極の状態の中で、ご自分を見捨てた弟子たちを愛し続け、ご自分を十字架につけた者たちを赦された」と教皇は指摘。

 「こうして、わたしたちの悪の深淵はより大きな愛にひたされ、分裂は交わりに変わり、離れていたものは近づき、闇は光となり、わたしたちの惨めさはいつくしみに抱擁された」と語られた。

 「イエスのわたしたちにあまねく捧げられた愛は、わたしたちの石の心を憐れみと優しさ、同情に満ちた肉の心に変えることができる。見捨てられたキリストは、見捨てられた人たちを探すようにとわたしたちを動かす。なぜなら、彼らの中には、貧しさだけでなく、見捨てられたイエス、わたしたちを救うため人間の状態の奥底まで降りて来られたイエスがおられるからである」と教皇は話された。

 「今日、人々の間に、多くの『見捨てられたキリスト』がいる」と述べた教皇は、「イエスはこれらの見捨てられた人たちを見つめ、心にかけるようにと願われる。拒絶され、疎外された人たちはキリストの生きたイコンだからである」と説かれた。

 ミサの終わりに、教皇は「お告げの祈り」を唱えられた。

 そして、儀式終了後、教皇は専用ジープで、聖ペトロ広場と広場前の大通りにあふれる巡礼者らの間を一巡された。

02 4月 2023, 16:41
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