「キリストはわたしたちの未来」教皇、ハンガリーの教会関係者に
教皇フランシスコは、ハンガリー訪問を開始した4月28日(金)、午前中の政府要人や各界代表との会見に続き、午後からカトリック教会関係者との集いを持たれた。
ハンガリーの最初の王、聖ステファノ(イシュトヴァーン1世)に捧げたイシュトヴァーン大聖堂で行われたこの出会いには、司教、司祭、助祭、修道者、神学生、また司牧活動にたずさわる信者らが参加した。
教皇はハンガリーの教会関係者に、今回の司牧訪問のモットーである「キリストはわたしたちの未来」という言葉を繰り返しながら、「アルファでありオメガ」「やがて来られる方、全能者」(黙示録1,8)であるお方を、人類の歴史の基礎、最終の到達地点として観想するよう招かれた。
そして、この復活節に「最初の者にして最後の者」(同1,17)であるお方を観想することで、今日の世界に吹き荒れる嵐や、目まぐるしく変化し続ける社会、西洋における信仰の危機を、諦めに陥ることなく、復活のキリストを中心に据えながら見つめることができるだろうと話された。
現在の教会は、すべては失われてしまいこの先どうなるかはわからないという破滅論的な悲観主義と、世の中はすでに変わっているのだからそれに合わせるべきという安易で世俗的な順応主義の、二つの誘惑に直面していると教皇は指摘。
これらの誘惑を前に、福音は、受容的な態度と預言的な精神をもって時代の中に入っていくための、新しい眼差しと識別の恵みを与えてくれると語られた。
教皇は、今日の教会が抱える諸問題の中でも、特に司祭の超過的な仕事に触れ、小教区の司牧に必要とされる多くの事柄に加え、召命の減少による司祭の不足と高齢化が進み、司祭たちに疲労のしるしが見られることを懸念。
ハンガリーだけでなく、ヨーロッパの教会一般に見られるこの現実において、司牧者と信徒が共同の責任感を持つことが必要と述べるとともに、こうした挑戦に対する答えは世の中からではなく主から、コンピューターからではなく聖櫃から訪れることを忘れないようにと、祈ることの大切さを示された。
また、司牧で何よりも重要なことは交わりを証しすること、神は交わりであり兄弟的な愛のある場所におられる、と述べた教皇は、人間的な分裂を乗り越え、主のぶどう畑でともに働こう、と呼びかけられた。
教皇は、いつくしみの眼差しと、憐れみの心を持ち、苦しみと貧しさのある場所に主のなぐさめを、迫害されるキリスト者や、移民、助けを必要とする人たちに寄り添いを伝えて欲しいと、司祭をはじめ、すべての教会関係者に願われた。