教皇「世界、教会、心に調和をもたらす聖霊」
カトリック教会の暦は、5月28日(日)、聖霊降臨の祭日を祝った。
教皇フランシスコは、この日、バチカンの聖ペトロ大聖堂でミサをとり行われた。
ミサの説教で教皇は、聖霊の働く場所をテーマに、「世界の創造」「教会」「わたしたちの心」の中で、聖霊がどのように働かれるかを考察された。
教皇は、「世界の創造」において聖霊が果たす役割は、無秩序のあるところに秩序を、分裂したところに結束を、混乱したところに調和をもたらすことである、と強調。
一方で、今日の世界を覆う多くの不和、無関心、戦争や紛争は、分裂させる霊、すなわち悪霊の業であると述べた教皇は、これに対し、わたしたちは世界に調和と一致、平和をもたらすように、聖霊に毎日祈らなければならない、と信者らを励ました。
また、教皇は、「教会」における聖霊の働きについて、聖霊は黎明期の「教会」にまず規則をもたらしたのではなく、一人ひとりに異なるカリスマという恵みを与えることから始めた、と指摘。
これらの恵みの多様さは混乱を生みかねないが、聖霊は創造の時と同様に、多様性から出発して、調和を醸すことを愛される、と教皇は述べ、教会の中にあるのは、押しつけられた画一性ではなく、「聖霊の恵みの多様さに沿った秩序」である、と語られた。
さらに、聖霊は「わたしたちの心」の中にも調和をもたらす。復活の日の夕方、イエスは弟子たちに息を吹きかけて、「聖霊を受けなさい」(ヨハネ20,22)と言われた。教皇は、イエスが聖霊を弟子たちに託したのは、弟子たちを通して人々の罪に赦しを与えるためであった(参照 ヨハネ20,23)ことを思い出させながら、聖霊は魂を和解させ、悪に引き裂かれ、傷や罪の意識によって砕けた心に調和を取り戻させるように働く、と説かれた。
わたしたちが調和を欲するならば、心を世俗的な事柄で満たすのではなく、聖霊を毎日呼び求め、祈りながら、聖霊に素直さをもって従おう、と招いた教皇は、尽きることのない調和の泉、聖霊に世界を委ね、教会とわたしたちの心を奉献して祈られた。