マルセイユ:教皇「溺死しそうな人を救うのは人類の義務」
教皇フランシスコは、マルセイユを訪問した9月22日(金)、諸宗教の指導者らと、海難犠牲者慰霊碑のそばで祈りの集いを持たれた。
マルセイユの海を見渡す小高い丘の上に、海上で亡くなった船員や移民のための慰霊碑がある。
慰霊碑に用いられた「カマルグ十字」は、十字架によって表された信仰、錨が表す希望、ハート形が象徴する愛の、3つの「対神徳」を示している。
この慰霊碑のもとで行われた諸宗教代表者らとの祈りの集いで、教皇は地中海で遭難した人々を深く心に留められた。
集いの挨拶で、「わたしたちの前にある海は、生命の源であると同時に、遭難の悲劇をも思い起こさせるもの」と述べた教皇は、「遭難者をニュース中の出来事、海で亡くなった人々を数字としてしか捉えないことに、慣れてはいけない。それは名前、顔、ストーリー、断たれた人生、壊された夢を持った人たちのことである」と話された。
教皇は、心に希望を抱いたまま恐怖のうちに溺れて亡くなった多くの人々を思いながら、「このような悲劇を前に言葉は要らない。要るのは具体的な行動である。さらにそれより先に必要なのは人間性、すなわち沈黙と涙、あわれみと祈りである」と指摘。
「人間が交換可能な物のように扱われ、囚われ、残酷な方法で拷問されるのを諦めて見ていてはいけない。憎むべき人身取引と行きすぎた無関心によって引き起こされた遭難の悲劇をこれ以上見ることはできない」
「波間に見捨てられ、溺死する恐れのある人たちは救助されるべきである。それは人類の義務、文明の義務である」
このように強調された教皇は、「この問題に一致して立ち向かおう。希望を遭難させてはならない。共に平和のモザイクを築こう」と呼びかけられた。
献花された慰霊碑を前に、教皇や関係者らは祈りを捧げた。