教皇「モンゴルの世界平和のための役割」を強調
教皇フランシスコは、モンゴル到着の翌日、9月2日、首都ウランバートルの政府宮殿で同国の各界代表および駐在の外交団とお会いになった。
教皇は挨拶で、広大で魅惑的なモンゴルの地を訪れた幸いを述べながら、ご自身をモンゴルの伝統的な移動式住居「ゲル」に喜びをもって足を踏み入れた「友愛の巡礼者」にたとえられた。
モンゴルと教皇庁の両国関係の強化をうたう書簡に署名が行われてから今年で30年を迎えたことに教皇は言及。
それよりはるか以前、今から777年前の1246年、教皇特使ジョヴァンニ・ディ・ピアン・デル・カルピネ(ヨハンネス・デ・プラノ・カルピニ)修道士が、モンゴル帝国の第3代皇帝グユクのもとを訪れ、教皇インノケンティウス4世の親書を手渡したことを、モンゴルとカトリック教会の出会いの歴史として振り返った。
インノケンティウス4世の書状に対する、皇帝の印が押された国書が、バチカン図書館に保管されていると教皇は紹介しつつ、今回の訪問でその精密な複製を友愛のしるしとして贈る喜びを述べた。
教皇は、砂漠から草原、森林から山脈に至る、モンゴルの雄大な自然の美しさに触れながら、このエコシステムの繊細なバランスを代々に渡り保ってきた遊牧民や農業従事者たちの叡智は、一部の人の利益の追求をよしとせず、豊かな大地を後世に残そうと望む人々に多くを教えてくれるだろう、と話された。
モンゴルは今日、広い外交関係と、国連への積極的な参加、人権と平和のための取り組みをもって、広大なアジア大陸の中心部と国際社会において、重要な役割を占めている、と教皇は指摘。
同国が核兵器拡散を防止する決意を持ち、非核保有国としての立場を世界に示しているように、モンゴルは平和的な外交政策をとる民主的な国であるだけでなく、世界平和のために積極的な役割を果たそうとしている、と述べた。
モンゴルにおいて、カトリック共同体は自らの貢献を続け、責任と兄弟愛を伴う奉仕の精神のうちに、その業をモンゴル国民と分かち合うことを望んでいる、と教皇は強調。
そのためにも、モンゴルのカトリック共同体が、その小ささにも関わらず、連帯の文化と、すべての人の尊重、諸宗教対話を広げ、正義と平和と社会調和のために尽くしながら、熱意をもって国の発展の歩みに参与していることを喜ばれた。
教皇は、「共に希望する」という今回のモンゴル訪問のモットーは、他者と共に歩むこと、相互の尊重、共通善のための協力作用が持つ本来の可能性を表すもの、と説明。
モンゴルのカトリック信者たちが、国を構成するすべての人々との対話と協力のうちに、豊かで安全な社会の構築に貢献することを期待された。