教皇「主の恵みを前に驚く、謙遜なマリア」

　「無原罪の聖マリア」を祝った12月8日（金）、教皇フランシスコはバチカンで正午の祈りの集いを行われた。

　教皇は呼吸器の炎症のため、先々週より日曜日の「お告げの祈り」を、バチカンのサンタ・マルタ館から中継で行われていた。その際、説教は国務省のパオロ・ブライダ師が代読していた。

　この日、聖母の祭日を迎え、教皇は正午にバチカン宮殿の窓辺にこれまでのように立たれ、自ら説教を行い、広場の巡礼者と一緒に「お告げの祈り」を唱えられた。

　教皇の説教の要旨は次のとおり。

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　「無原罪の聖マリア」の祭日である今日、福音は受胎告知の場面をわたしたちに示している（参照 ルカ1,26-38）。マリアは、罪から完全に自由な心という、この特別な賜物をどのように保っていたのか。この場面は、その理解を助けるマリアの二つの態度を浮かび上がらせている。その二つの態度とは、神の御業への驚きと、単純な物事における忠実さである。

　まず、マリアの神の業に対する驚きについて見てみよう。天使はマリアに言う。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」（ルカ1,28）。するとマリアは「この言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ」（同1,29）と福音記者ルカは伝えている。「恵まれた方」、すなわち神の愛で満たされた方、と呼ばれ、謙遜なマリアは驚き、動揺した。

　それは、主の恵みを前に驚き、それを当たり前と思わず、その価値を知り、信頼をもって喜ぶ、尊い態度である。また、日々の問題だけでなく、受け取った神の恵みについて謙遜に話し、その驚きを他者の前で証しすることも重要である。

　さて、ここで自らに尋ねよう。自分は神の御業に驚くことができるだろうか。それに驚嘆し、その思いを誰かと分かち合うことはあるだろうか。それともいつもネガティブで悲しいことばかりを探しているだろうか。

　次にマリアの単純な物事における忠実さに注目しよう。福音書は受胎告知の前にマリアについて何も語っていない。マリアはその村に住むごく普通のおとめとして描かれている。神の恩恵により、その母の体内にやどった瞬間において、原罪のすべての汚れからあらかじめ守られたマリアは、まさにその簡素さゆえにその汚れなき心を純粋に保った。最も日常的で目立たない物事を大切にできるということは、神の偉大な賜物を受け入れるために不可欠な要素である。善における日常的な忠実が、聖母の中で神の賜物が成長するのを可能にした。このようにして、聖母は人生のすべてをもって主に「はい」と答える訓練ができていたといえる。

　では、ここで自問しよう。霊的歩みとしての毎日の様々な状況において、大切なのは神への忠実だと、確信しているだろうか。そうであるならば、福音書を読み、祈り、ミサやゆるしの秘跡に与り、具体的な無償の奉仕に捧げる時間を見つけているだろうか。それは毎日の小さな選択だが、主の現存を受け入れる決定的な選択である。

　無原罪の聖マリアよ、わたしたちが神の賜物に驚き、それに毎日忠実な寛大さをもって答えることができるよう助けてください。