人類友愛のためのザイード賞:教皇、受賞者らにメッセージ
国連の「人類友愛国際デー」が記念された2月4日の翌日、アラブ首長国連邦・アブダビで、「人類友愛のためのザイード賞」の授与式が行われた。
「人類友愛国際デー」は、文化的・宗教的な寛容と、相互理解、対話の推進を目的にした国連デー。
「人類友愛のためのザイード賞」は、2019年2月4日、アブダビで、教皇フランシスコとアル=アズハルのグランド・イマーム、アフマド・アル・タイーブ師によって署名された共同文書「世界平和のための人類の友愛」の理念に従って設けられたもので、人類の友愛に継続的に取り組む人・団体に贈られる。受賞者の選考は、同共同文書の署名後に発足した「人類友愛のための高等委員会」によって行われている。
今年の同賞は、チリのネリー・レオン修道女、エジプトの心臓外科医マグディ・ヤコブ医師、そしてインドネシアのイスラム系の2組織、ナフダトゥル・ウラマーとムハマディヤに贈られた。
「受刑者の母」と呼ばれるレオン修道女は、25年間、女性受刑者の支援と社会復帰プログラムに取り組んできた。エジプトのマグディ・ヤコブ医師は、多くの貧しい人々の命を救ったことが、またインドネシアのナフダトゥル・ウラマーとムハマディヤの2団体は、人道支援と平和構築への貢献が認められた。
教皇フランシスコは、同賞の授与式にビデオを通してメッセージをおくられた。
式の冒頭の挨拶で、教皇はアブダビで5年前に行った、共同文書「世界平和と共存のための人類の友愛」への署名を思い起こしながら、異なる文化と伝統の尊重のうちに、憎しみや暴力や不正義を防ぐものとして友愛を築く必要を自覚しながら、兄弟として歩んだこれまでの日々を振り返った。
友愛の道は、長く険しい共に歩む道のりであるが、それはわたしたち人類のための救いの錨(いかり)であり、今わたしたちが体験している多くの脅威のしるしと暗い時代に対抗するものである、と述べられた。
次に、教皇は「人類友愛のためのザイード賞」の受賞者たちの模範に感謝の言葉をおくりながら、受賞者たちの生き方が、全人類への奉仕のために、異なる宗教間のさらなる豊かな協力を生む刺激となることを願われた。
友愛を分かち合いながら、わたしたちは皆、対話、憐れみ、連帯、持続可能な発展、包括性を励ます、平和の文化の推進者となるように招かれている、と述べた教皇は、「相互理解を進めていきましょう」とすべての人に呼びかけられた。