使徒的勧告「キリストは生きている」から5年、教皇のメッセージ
教皇フランシスコの使徒的勧告「キリストは生きている(原題:Christus vivit)」の発表から今年で5周年を迎える。
この文書は、「若者、信仰そして召命の識別」をテーマに2018年10月バチカンで開催された「世界代表司教会議(シノドス)第15回通常総会」の実りを受け、その翌年、教皇フランシスコが「シノドス後の使徒的勧告」として公布したもの。
同文書は、2019年3月25日、教皇の訪問先アッシジにて署名され、同年4月2日に発表された。
教皇は、同使徒的勧告の発表5周年を機会に、世界の若者たちにメッセージをおくられた。
その中で教皇は、「キリストは生きておられ、あなたがたに生きて欲しいと願われます」というメッセージを喜びに満ちた確信と共に繰り返された。
多くの紛争や苦しみに満ちた今日の国際情勢において、たくさんの人々が意気消沈している時、教皇はこのメッセージを通し、若者たちの心に再び希望を灯すことを望まれた。
「キリストは生きておられ、あなたを限りなく愛しておられます」と教皇は一人ひとりに呼びかけられた。
「キリストのあなたへの愛は、あなたの不徳や過ちに左右されません。あなたのためにご自分の命を捧げられたキリストは、あなたを愛するために、あなたが完璧になることを待たれません。十字架の上で広げたその両腕を見つめ、いつでも新たにその救いに自分をゆだねてください」と教皇は記されている。
そして、教皇は、「友と歩くように、キリストと共に歩んでください。キリストをあなたの人生に迎え入れ、喜びや、希望、悲しみ、若さゆえの苦悩を分かち合ってください。すると、あなたの歩みは照らされ、重荷も軽くなるでしょう。なぜならキリストがあなたと一緒に荷を負ってくださるからです」と述べている。
青少年の一人ひとりがこのメッセージを受け取り、それを各自の人生の中で実感し、友達とそれを分かち合うことを希望される教皇は、「キリストとの友情から生まれる喜びを皆に証しすること」、「それぞれの声と生活と心を通して、キリストは生きておられると伝えること」を若者たちの大きな使命として示された。
今から40年前、「贖いの特別聖年」中の1984年4月14日、「世界青年の日(ワールドユースデー)」の前身となる初めての若者たちの大集会が開かれた日を教皇は回想。
その聖年の終りには、聖ヨハネ・パウロ2世は、死んで復活されたイエスの中にこそ救いと贖いがあることを思い出させるしるしとして若者たちに十字架を手渡し、それを世界中にもたらす使命を託されたことを思い起こされた。
磔刑のキリスト像を伴わないそのシンプルな十字架は、キリストの死に対する勝利を記念し、「なぜ、生きておられる方を死者の中に捜すのか。あの方は、ここにはおられない。復活なさったのだ」(ルカ24,5-6)ということを、すべての人に告げ知らせるためのものであったと、その意味を改めて紹介された。
教皇は若者たちに「皆さんは歩む教会の生きた希望です」と述べ、青年たちの良い意味でのにぎやかさや刺激、復活されたキリストの喜びを生き、告げるための独創的な方法が決して欠けることがないようにと願われた。