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復活徹夜祭:「魂を押しつぶす石をイエスが転がしてくださるように」

2024年度の「復活の聖なる徹夜祭」が、教皇フランシスコによってバチカンでとり行われた。

 教皇フランシスコは、3月30日(土)夜、バチカンで2024 年度の「復活の聖なる徹夜祭」をとり行われた。

 復活祭の前日「聖土曜日」から「復活の主日」の夜明けまでの間に、主イエス・キリストの復活を待ちつつ祈り、死から生への過ぎ越しを祝う「復活の聖なる徹夜祭」が行なわれる。

 「すべての聖なる徹夜祭の母」と呼ばれるこの儀式は、「光の祭儀」「ことばの典礼」「洗礼式」「感謝の典礼」の4部からなる、キリスト教の豊かな伝統と象徴にあふれるものである。

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  この夜、教皇による復活徹夜祭は「光の祭儀」から始まった。

  教皇は大聖堂の扉の外で、新しい火と、復活したキリストの象徴である復活のろうそくを祝別された。

  復活のろうそくに新しい火が灯され、それを掲げる助祭と共に、明かりを落とした真っ暗な大聖堂に行列が入場した。

  「キリストの光」という言葉と共に、助祭は復活のろうそくを高く掲げた。これが3度繰り返される間、この大ろうそくから、行列の人々のろうそくへ、さらには会衆が手にするろうそくへとともし火が移され、一つの火は光の筋となり、やがては輪となり大聖堂全体に広がっていった。

  大聖堂の照明が灯された後、復活のろうそくが燭台に立てられた。そして、朗読台に上がった助祭により、復活賛歌「エクスルテット」がラテン語で朗々と歌われた。

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  復活徹夜祭の「ことばの祭儀」は、豊かな聖書朗読を特徴とする。ここでは、旧約聖書から「創世記」(1,1.26-31)、「出エジプト記」(14,15-15,1)、「イザヤ書」(54,5-14)が、使徒聖パウロの書簡から「ローマの信徒への手紙」(6,3-11)が、そして福音朗読として「マルコによる福音」(16,1-7)が朗読され、人々は救いの歴史、キリストに結ばれる洗礼の意味、そして、キリストの復活の告知に耳を傾けた。

 教皇は説教で、週の初めの日の朝早く、イエスに油を塗りに墓に向かった婦人たちの心を覆う闇の暗さ、心を引き裂く苦しみを思われた。

 「だれが墓の入り口からあの石を転がしてくれるでしょうか」(マルコ16,3)と、婦人たちの心を占めているその石こそ、イエスの生涯の終わりをしるすものであった、と教皇は指摘。

 イエスはこの世に来たが、殺されてしまった。イエスは御父のいつくしみを表したが、ご自身は憐れみを受けなかった。罪びとたちを裁きの重みから引き上げたが、ご自身は磔刑に定められた。姦通の女を石打ち刑の暴力から解放した平和の君は、今や大きな墓石の下に横たわっている。この動かし難い大きな石の塊は、婦人たちの心の重荷となり、彼女たちの希望と夢を振り出しに戻すものであった、と語った。

 時には、わたしたちの心の入り口にも大きな墓石がのり、人生を塞ぎ、信頼をつぶし、わたしたちを喜びと希望から妨げ、恐れと悲哀の墓に閉じ込めているように感じることがあるかもしれない、と述べた教皇は、闇から光へと過ぎ越した方、イエスこそがわたしたちの復活であり、わたしたちを罪と死の深淵から救い、赦しと永遠の命の圧倒的な輝きへと引き上げてくださる方である、と説かれた。

 そして、命の神であるイエスに眼差しを上げ、その復活の力をもって、わたしたちの魂を押しつぶしている巨大な石を転がしてくださるように願おう、と招かれた。

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 この後、復活徹夜祭の伝統である「成人の洗礼式」が行われた。

 古い自分に死に、イエス・キリストの復活の神秘に与り、新たな命に生まれ変わるという意味において、キリストの死から復活への過ぎ越しを記念する復活徹夜祭は、洗礼の秘跡のために最もふさわしい時であると古代より考えられてきた。

 この洗礼式で、教皇は、日本(1名)をはじめ、イタリア(4名)、韓国(2名)、アルバニア(1名)を出身とする8名の洗礼志願者に、洗礼の秘跡を、そして続いて堅信の秘跡を授けられた。

 最後に「感謝の祭儀」がとり行われた。

 閉祭には、イエスの復活を聖母と共に寿ぐ賛歌「レジナ・チェリ」が歌われ、豊かなキリスト教的シンボルと意味に満ちた復活徹夜祭は終了した。

 

30 3月 2024, 23:37