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ベネチア:「世界はアーティストを必要としている」教皇、ビエンナーレ関係者に

教皇フランシスコは、ベネチアを訪問、2024年度ビエンナーレ国際美術展のバチカン館が設けられたジュデッカ島の女子刑務所で、アーティストらとお会いになった。

 教皇フランシスコは、4月28日(日)、「第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」のバチカン館が置かれたジュデッカ島を訪問、アーティストたちをはじめ、同展覧会の関係者らとお会いになった。

 バチカンは、2024年度の同ビエンナーレにおいて、「わたしの目で」をテーマに、ジュデッカ島の女子刑務所を会場に4月20日から11月24日まで展示を行なっている。

 教皇とアーティストたちとの出会いは、同刑務所の礼拝堂である「マッダレーナ教会」で行われた。

 教皇は関係者への挨拶で、ビエンナーレ国際美術展への訪問を望んでいたと述べ、「昨年6月にシスティーナ礼拝堂で多くのアーティストたちとの出会いを持ったが、今回はわたしが皆さんの『家』にやって来た」と語られた。

この席で教皇は、「世界はアーティストを必要としている」というメッセージをおくられた。

 教皇は、旧約聖書に記述される「逃れの町」(参照 申命記4,41)に言及。「逃れの町」は、無辜の人々の流血を避け、盲目的な復讐心を和らげ、人権を保証し、和解を模索するために設けられた制度である、と説明された。

 そして、空虚である一方、人種的偏見や、外国人排斥、不平等、エコロジー的不均衡、貧困等が広がる世界に対し、様々な形の芸術が、あらゆる場所で「逃れの町」を形成しながら、世界をこの矛盾から解放すべく協力することが重要、と話された。

 今回のビエンナーレのバチカン館のテーマ「わたしの目で」に触れた教皇は、「わたしたちは皆、人から見つめられると共に、自分を見つめる必要がある」と指摘。

 師イエスは、裁くことなく、寄り添い励ます深い愛の眼差しで、すべての人を見つめられていると語り、芸術は無関心でも表面的でもないこのような観想的な眼差しを育てるもの、と説かれた。

 また、教皇は、今日ジュデッカ島の女子刑務所に集ったわたしたちは、女性たちが持つ苦しみと喜びに耳を傾け、そこから大切なことを学ばなければならないとも話された。

 教皇は、現代美術がわたしたちの眼差しを開き、人類の冒険の主役を共に担う女性たちの貢献を価値づけることができるようにと希望された。

28 4月 2024, 12:48