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教皇フランシスコと気候変動をめぐる国際会議参加者たち 2024年5月16日 バチカン宮殿 教皇フランシスコと気候変動をめぐる国際会議参加者たち 2024年5月16日 バチカン宮殿  (Vatican Media)

教皇、気候危機への対応に協力と連帯呼びかける

教皇フランシスコは、気候変動をめぐる国際会議の参加者らとの出会いを持たれた。

 教皇フランシスコは、5月16日、気候変動をめぐる国際会議の参加者らとお会いになった。

 教皇庁立科学アカデミーと社会科学アカデミーが共催したこの会議は、「気候危機から気候レジリエンスへ」をテーマに、5月15日から17日まで、両アカデミーの本部、バチカンの「ピオ4世のカシーナ」で行われている。

 同会議には、国際機関関係者や、研究者、宗教指導者、そして世界の都市から首長らが集い、気候危機を和らげることはもとより、その影響に対する回復力を高める方策をめぐり、それぞれの専門や経験を分かち合った。

 日本からは環境省により脱炭素先行地域に選定された自治体の一つである横浜市から山中竹春市長が同会議に参加。教皇との出会いには、千葉明・駐バチカン日本国特命全権大使も出席した。

 教皇は関係者への挨拶で、「環境破壊は神に対する侮辱であり、最も弱い立場の人々はもとより全人類を深刻な危険に陥れ、世代間の闘争を引き起こしかねない、個人的のみならず、組織的な罪である」と述べた。

 「わたしたちはいのちの文化のために働いているのか、それとも、死の文化のために働いているのか」と教皇は問いつつ、この会議はそれに対し、わたしたちは大地の叫びに注意を払い、貧しい人の嘆願に耳を傾け、若者の望みや子どもたちの夢を感じ取らなければならないと答えている、と話した。

「わたしたちは、気候変動や、生態系の多様性の喪失、環境汚染、広がる不平等、食料不安、脅かされる人間の尊厳など、個別でありながら相互に関連し合った制度上の挑戦を前にしている」と教皇は指摘。

 集団的かつ緊急に対応しない限り、これらの問題は人類の、また他の生物たち、すべての生態系の存続に関わる脅威となるだろう、と警告された。

 気候危機に立ち向かうには、調和ある協力とグローバルな連帯が必要と述べた教皇は、CO 2削減や、生活スタイルの教育、新しい形の出資、自然に基礎を置く実証された解決策の利用などを通して、干ばつをはじめ、気候変動の影響に対するレジリエンスを強化できるように願われた。

 また、教皇は、特に気候による大きな被害を受けている開発途上国や島国の必要に応えられる新しい財政構造を発展させる必要を説かれた。

 教皇は関係者らの問題への取り組みに感謝され、平等と社会正義を通して、現在の気候危機から気候レジリエンスへの移行のための協力を続けて欲しいと励まされた。

16 5月 2024, 15:02