ノルマンディー上陸作戦から80年:教皇、ミサ参列者にメッセージ
1944年6月6日、連合軍によるノルマンディー上陸作戦が行われてから、今年で80年を迎える。
この出来事を思い起こすために、フランス・ノルマンディー地方バイユーのカテドラルで5日夕方ミサが捧げられた。
教皇フランシスコは、バイユー=リジュー教区のジャック・ユベール司教に宛てた書簡を通し、行政・教会・軍の関係者をはじめ、ミサに参列したすべての人々にメッセージをおくられた。
この中で教皇は、ノルマンディー上陸作戦という、自由を取り戻すための大規模な驚くべき合同の努力を振り返ると共に、そのために払われた多大な命の犠牲 – 戦死した兵士たちの多くは遠い国から作戦に加わった若者たちであった - を深く心に留められた。
同時に教皇は、完全に破壊されたノルマンディーのたくさんの都市、そして爆撃の犠牲となった無数の無辜の市民を悲しみのうちに思い出された。
しかし、この作戦がより一般的に呼び起こすものは、子どもを含む多くの人々を苦しませ、家族たちを引き裂き、膨大な破壊をもたらした、あの恐ろしい世界大戦の悲劇である、と教皇は強調。
戦争を非難し拒否することなしに、また聖パウロ6世が1965年国連で演説した時のように、「戦争を二度と繰り返してはならない」と叫ぶことなしに、この出来事を記憶することは無駄であり、また偽善である、と述べられた。
この数十年間、過去の過ちの記憶は、新たな世界大戦を勃発させることがないように、可能な限りの努力を尽くそうとする人々の確固たる意志を支えてきた。しかし、今日、それとは異なる情勢を見ることで、人間の記憶とは長続きしないものと、悲しくも考えざるを得ない、と教皇は記し、この度の記念が反戦への思いを取り戻す機会になるように、と願われている。
仮定的であった対立の広がりが、改めて真剣に考慮されるようになり、人々がこの容認し難い不測に少しずつ慣らされていくのは憂慮すべきこと、と教皇は述べている。
人々は平和を欲し、安定と安全、発展を望み、その中で各自が自分の義務と使命を果たそうとしている。この尊い秩序をイデオロギー的、国家主義的、経済的な野心のために破壊することは、人々と歴史を前にした重大な過ちであり、それは神の御前における罪である、と教皇は説いている。
バイユーのカテドラルに集った人々と祈りのうちに一致したいと述べた教皇は、戦争を望む人々に回心が訪れるように、また平和のために働く人々の努力が実るようにと祈られた。
そして、教皇は過去と現在の戦争のすべての犠牲者の冥福を祈ると同時に、今日の戦争に苦しむすべての人々、特に戦争の悲劇の一番の被害者である、貧しく、弱い立場の人々、お年寄り、女性、子どもたちを助けてくださいと神に祈られた。