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2024年度「被造物を大切にする世界祈願日」に向けて教皇メッセージ 2024年度「被造物を大切にする世界祈願日」に向けて教皇メッセージ 

2024年度「被造物を大切にする世界祈願日」教皇メッセージ

教皇フランシスコは、カトリック教会の2024年度「被造物を大切にする世界祈願日」に先立ち、メッセージをおくられた。

 2024年度「被造物を大切にする世界祈願日」に向けて、教皇フランシスコのメッセージが発表された。

 カトリック教会は、毎年9月1日に「被造物を大切にする世界祈願日」を記念する。この日は、環境保護に対する関心を呼びかけると共に、環境を取り巻く問題をめぐり考察と祈りを深めることを目的としている。

 今年の同祈願日のテーマは、「被造物と共に希望し行動する」。このテーマは、使徒聖パウロが「ローマの信徒への手紙」中で、被造物と共に贖いを待ち望む、信仰を通した救いの希望について記した箇所(8,19-25)に基づいている。

 メッセージの中で、様々な不正義や、兄弟同士が殺し合う戦争、人間にとって不可欠な環境に対する汚染など、世の中の多くの悪を見つめる教皇は、聖パウロがアダムの原罪に暗に触れつつ、「被造物がすべて今日まで、共にうめき、共に産みの苦しみを味わっていることを、わたしたちは知っています」(ローマ8,22)と述べている箇所を観想。万物、すべての被造物は、今ある状況を乗り越え、本来あるべき姿に落ち着くことができるようにと、待ちきれずに、うめき、あえいでいる、と記された。

 「被造物も、いつか滅びへの隷属から解放されて、神の子供たちの栄光に輝く自由にあずかれる」(ローマ8,21)と聖パウロが記すように、キリストによる人間の救いは、被造物にとっても確かな希望であり、キリストの贖いにおいて、人間とその他すべての被造物との連帯の絆を希望のもとに観想することができる、と教皇は述べている。

 イエスの輝かしい再臨を希望と忍耐のうちに待つ中で、聖霊は信者の共同体を見守り、教え、環境をめぐる人的堕落に抗するための生活スタイルの回心へと招く。

 この回心とは、他者と自然を支配しようとする者の傲慢から、他者と被造物をいたわる者の謙遜への移行に根差している、と教皇は指摘。「自分を神に代わる存在にしようとする人間は、自分自身の最大の危険となるだろう」と警告している。

 「被造物と共に希望し行動する」とは、何よりもすべての善意の人が力を合わせ、共に歩み、人間の力の意味とその限界を再考することに貢献することである、と教皇は言う。

 人間の能力はこの数十年で増し、驚くべき技術発展を遂げたが、それと同時に多くの生物の命と自分たち自身を危険に陥れるほどに危ない存在になったことに気づいていない、と教皇は注意を促している。

 コントロール不可能な能力は恐ろしい状態を生み出し、それはわれわれ自身を襲う可能性があると述べながら、教皇は特に人工知能の発展に倫理的制約を設け、それを人間と自然の支配に用いるのではなく、平和と統合的発展に役立たせる必要を改めて説いている。

 今年の三位一体の祝日にバチカンで開催されたカトリック教会の「第1回世界子どもの日」の大会で、子どもたちは、神とは抽象的な概念ではなく、愛情深い御父、すべての人の贖い主にして友である御子、わたしたちの愛の歩みを導く聖霊であることを理解した、と教皇は回想。

 愛の霊への従順は、人間の態度を略奪者から庭を耕す者の態度へと根本的に変える、と述べながら、教皇は「大地は人間に託されても、神のものとして残る」(参照 レビ記25,23)のであり、自然を所有・支配し、自分の好きなように変質させようと試みることは、一つの偶像崇拝の形である、と記している。

 こうして教皇はこのメッセージを通し、被造物を守ることは、単なる倫理を超えた、人間の神秘と神の神秘の交わりをめぐる、何よりも神学的な問題であると強調している。

27 6月 2024, 17:08