聖マリア大聖堂献堂の祭日、教皇、ローマと全世界に平和祈る
ローマのエスクィリーノの丘にそびえる「聖マリア大聖堂(バシリカ・ディ・サンタ・マリア・マッジョーレ)」は、毎年8月5日、その献堂を記念する。
「バシリカ・リベリアーナ(リベリウスのバシリカ)」とも呼ばれるように、同聖堂の最初の原型は、教皇リベリウス(在位352-366)によって建設された。
伝承によれば、385年の8月4日から5日にかけての夜、ジョヴァンニという名のローマの貴族と教皇リベリウスの夢に聖母が現れた。聖母はしるしによって示す場所に教会を建てるように勧めた。翌朝、真夏にも関わらず、エスクィリーノの丘には雪が積もっていた。駆けつけた教皇リベリウスは、積雪の形に沿って外郭を定め、同じ夢を見た貴族ジョヴァンニの協力を得て、西洋において最古の聖母巡礼地となる教会を建てた。
後に、教皇シスト3世(在位432-440)は、リベリウス時代の聖堂を修復・再建し、8月5日をその献堂の日とした。この献堂の祭日が早くから祝われていたことは、5世紀の『ヒエロニムス殉教者暦』などの史料からも明らかになっている。
今日でも同大聖堂では、献堂を祝う8月5日の午前のミサの「栄光の賛歌(グロリア)」と、同日の夕べの祈り(第二晩課)の「マニフィカト」が歌われている間、すなわち朝と晩の2回、奇跡の積雪を思い起こすものとして、天井から雪に見立てた白い花びらを祭壇上に降らせる美しい儀式が行われる。この儀式に関しても、古くから行われていた記録があるという。
教皇フランシスコは、「聖マリア大聖堂の献堂」の日、同聖堂を訪れ、夕べの祈りに参加された。
この祈りの集いで行われた説教で、教皇は聖母への崇敬と深く結びついた歴史あるこの聖堂に、来年2025年の聖年にはさらに多くの巡礼者が訪れるだろうと述べた。
その先駆者として、聖年に先立ってここに集まったわたしたちは、ローマのために、そして全世界のために特に平和を祈りたい、と教皇は強調。
真の平和、恒久の平和は、回心し赦された心からのみ、十字架上のキリストと、わたしたちの罪の赦しのために流された御血からのみ生まれるだろうと説かれた。
教皇の説教に続き、「マニフィカト」が歌われる中、天井から白い花びらをまく伝統の儀式が行われ、参加者たちは顔を上げて幻想的な光景を見つめていた。