教皇、相互尊重と対話を強調、インドネシアの諸宗教代表者らと
教皇フランシスコは、インドネシア訪問3日目、9月5日(木)午前、イスラム教をはじめとする、インドネシアの諸宗教代表者らとの出会いのために、ジャカルタ中心部のイスティクラル・モスクを訪れた。
イスティクラルは、12万人を収容できる、東南アジア最大のモスク(イスラム礼拝所)。17年間の建設期間を経て、1978年に一般公開された。
イスティクラル・モスクの向かい側には、カトリック教会のカテドラル「被昇天の聖母大聖堂」があり、この二つは、インドネシアの多様性と寛容の象徴として設けられた「友情のトンネル」と呼ばれる地下通路で結ばれている。
同モスクに到着した教皇は、グランド・イマーム、ナサルディン・ウマル師から迎えられた。
「友情のトンネル」を見学した教皇は、「トンネルとは暗い通路を想像しがちだが、ここではすべてが照らされている。わたしは皆さんこそがトンネルを照らす光であると申し上げたい。わたしたちが調和と平和のうちに生きることは可能であるという信念のもとに働き、より兄弟愛に満ちた世界の必要性を認識している人々に感謝したい」と挨拶された。
教皇はこの出会いで、暴力と無関心の文化に打ち勝ち、和解と平和を育み、すべての宗教的伝統に共通する価値を促進することを強調した「イスティクラル共同宣言2024」に署名した。
教皇は諸宗教代表者らへの挨拶で、イスティクラル・モスクがキリスト教徒の建築家によって設計されたことは、インドネシアの歴史と文化において、モスクが他の宗教施設と同様に、諸宗教間や異なる霊性間の対話・相互尊重・調和ある共存の場であることを証しするものと指摘。
宗教的な体験を兄弟愛あふれる平和な社会のための基準とし、それを決して閉鎖的な考えや対立の理由にしないために、この偉大な恵みを日々育てるよう皆さんは招かれている、と話された。
また、教皇は、同モスクとカテドラルを結ぶ「友情のトンネル」は、共に生き、交わり、出会うことの「神秘」を見出し分かち合うことを可能とするもの、と述べ、一人ひとりが各自の霊性を育み、それぞれの宗教を実践しつつ、共に神を求めて歩み、危険な原理主義・過激主義から守られた、相互尊重に基づく開かれた社会の構築に寄与できるように、と願われた。
インドネシアは、様々な文化・民族・宗教的伝統がモザイクを織りなす、豊かな多様性を擁する偉大な国であり、それは多様な生態系と環境にも反映されている、と述べた教皇は、同国が有する最大の金鉱に触れつつ、最も貴重な宝は「相違は争いの原因にはならず、融和と相互尊重のうちに調和は可能である」という意志であると強調。この偉大な宝を失うことなく育て、若い人々に伝えて欲しいと希望された。