「信仰、兄弟愛、憐みを使命に」教皇、インドネシアの教会関係者に
教皇フランシスコは、インドネシア訪問2日目、9月4日、ジャカルタの大統領官邸で歓迎式典に臨み、各界代表と会見された後、バチカン大使館で、同国のイエズス会会員らとの集いを持たれた。
そして、同日午後、教皇はジャカルタのカテドラルを訪れ、インドネシアのカトリック教会関係者とお会いになった。
インドネシアの宗教は、総人口の約87%がイスラム教、約10%がキリスト教で、そのうちプロテスタントがおよそ7%、カトリックは約3%である。これらの宗教に、さらにヒンズー教、仏教、儒教などが加わる。
教皇は市民からの温かい歓迎を受けながらカテドラルに到着された。
被昇天の聖母に捧げられた、ネオ・ゴシック様式のこの大聖堂は、ジャカルタの中心部にイスティクラル・モスクと向かい合うように建っている。1810年に地域で初のカトリック教会として献堂され、その後、1826年の火災、1890年の地震による倒壊を経て、1891年から再建が始まり、1901年に現在の形で再び献堂された。
教皇は聖堂内で、インドネシア司教協議会のメンバーをはじめ、司祭、助祭、修道者、神学生、カテキスタらとの集いを持たれた。
この出会いで教皇は、このたびのインドネシア訪問のモットー「信仰、兄弟愛、憐み」の3つの言葉を、同国の教会関係者に指針として示された。
「信仰」をめぐり、教皇は、インドネシアが擁する広大な国土、生物多様性、エネルギー資源など、自然がもたらす豊かさに触れられた。このような大きな豊かさは高慢の原因になりかねないが、これらすべてを与えてくださるのは神であることを思い起こし、その恵みを子どものような謙虚な目で見つめ、感謝と責任を育むようにと招かれた。
次に教皇は、「兄弟愛」を実践するとは、互いを受け入れ合い、多様性の中の平等を認め合うこと、と説明。福音を宣べ伝えるとは、信仰を押し付けたり、他の信仰と対立することではなく、キリストとの出会いの喜びをもたらし、それを分かち合うことと話しつつ、分裂し、挑発し合う傾向にある世界で、「交わりの預言者」として、すべての人に尊敬と兄弟愛の精神をもって接して欲しいと願われた。
そして、教皇は「憐み」について、慈愛とは、困窮する兄弟姉妹に施しを与え、安全な高い塔から彼らを見下ろすことではなく、かえって互いに近寄り、兄弟に触れ、彼らを引き上げ、希望を与えることと説かれた。
教皇は、信仰において強く、友愛において皆に開かれ、憐みにおいて互いに寄り添うことを使命とするよう、インドネシアの教会関係者を励まされた。