教皇、ルクセンブルクが国際社会で担う役割に期待

ルクセンブルクを訪問した教皇フランシスコは、同国の各界代表と会見された。

 教皇フランシスコは、9月26日、訪問先のルクセンブルクで、同国の各界代表とお会いになった。

 セルクル・シテで行われたこの会見には、アンリ大公をはじめ、フリーデン首相ら政界関係者、経済・文化など社会の各分野を担う人々、同国駐在の外交団らが参加した。

 教皇はこの席で、異なる言語と文化圏の境界という特殊な地理的位置を占めるルクセンブルクが、ヨーロッパ史上の重要な出来事の影響をしばしば受ける立場となり、そのために、20世紀前半、2度にわたり侵略を受け、自由と独立を奪われたことを思い起こされた。

 第2次大戦の終結以来、歴史から学び、統一された連帯的なヨーロッパの建設に取り組んできたルクセンブルクの際立った役割に教皇は注目。その再建設において目指したものは、大小を問わずすべての国が各自の役割を担い、過激な国粋主義や有害なイデオロギーが引き起こした分裂や対立、戦争をようやく捨て去った欧州の姿であった、と振り返った。

 教皇は、暴力的な対立の論理が勝る時、紛争勢力間の境界にある場所は、彼らが望まないにもかかわらず、深刻な巻き添えを受けることがあると指摘。それに対し、人々の精神が最終的に賢明な道を見出し、対立が協力に取って代わる時、その同じ場所は、新しい平和の時代の必要とそのたどるべき道を示す最適な場所になることがある、と話した。

 この法則においてルクセンブルクも例外ではなく、欧州連合(EU)の創立メンバーとして、また欧州司法裁判所や欧州投資銀行など多くのEU機関を置く国として、重要な役を果たしている事実を教皇は示した。

 実際、国家が国際社会で重要な役割を果たし、経済・金融の水準において中枢となるための必要条件は、国土面積や人口にではなく、賢明な制度と法律の忍耐強い構築と、人間と共通善を中心に据えた、平等と法の尊重のもとに規律づけられた市民生活にある、と話された。

 教皇は、ルクセンブルクが、戦争の恐ろしさに対して平和のすべての利点を、移民の隔離に対して統合と支援を、立場の硬化や利己的・近視眼的・暴力的な利益追求がもたらす災難に対して国家間の協力がもたらす恩恵を、すべての人に示すことができるようにと願われた。

26 9月 2024, 16:27