パプアニューギニア:教皇「祈る民には未来がある」
教皇フランシスコは、訪問中のパプアニューギニアで、9月7日(土)、同国の各界代表及び駐在外交団と会見された。
前日6日(金)夜、首都ポートモレスビーに到着された教皇は、この朝から公式行事に臨まれた。
最初に、教皇は市内の総督官邸、ガバメントハウスに、ボブ・ダダイ総督を表敬訪問された。
官邸で総督に迎えられた教皇は、記帳と個人会談を行われた。
この後、教皇は、国際会議場APECハウスで、パプアニューギニアの各界代表及び駐在外交団とお会いになり、スピーチを行われた。
ポートモレスビーのAPECハウスは、2018年にパプアニューギニアで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)の閣僚・首脳会議の会場となった建物。
この会見の席で教皇は、数百の島々からなるパプアニューギニアは、800以上の言語が話され、言語と同様に多数の民族が暮らす、豊かな文化と多様性、また恵まれた天然資源を持つ国であることに言及。
こうした文化と環境の宝は、大きな責任をも意味するもの、と教皇は述べつつ、具体的な計画、国際協力、相互尊重、すべての当事者に有益な協定を通して、誰も排除しない、皆の幸福を向上させる、持続可能かつ公平な方法で、自然と人的資源を価値づける取り組みがすべての人に求められている、と話された。
また、教皇は、こうした成果を得るためには制度の安定が必要であり、制度の安定性を高め、基本的な選択をめぐる合意を構築することは、統合的で連帯に満ちた発展のための必須条件である、と述べた。
多くの犠牲者を生み、平和な暮らしと発展を妨げる部族間の暴力を憂慮される教皇は、暴力の連鎖を止め、この国のすべての人々の益のために実りある協力の道を歩むよう、皆の責任感に訴えられた。
そして、市民社会の基本要素についての合意を強化し、共通善のために一人ひとりが献身をいとわないことで、インフラを改善し、医療や教育の必要に応え、尊厳ある労働の機会を創出するために必要な力を得ることができるだろう、と語られた。
「人間が求めているものは生活に要るものだけではない、人間の心には大きな希望も必要」と述べた教皇は、「物質的な豊かさだけでは十分でなく、この魂の息吹がなければ、生き生きとし安定した、勤勉で喜びあふれる社会は生まれない」と強調。
「精神的な価値観は、地上の都市とこの世のあらゆる現実の構築に非常に大きな影響を与え、それに魂を吹き込む」、「祈る民には未来がある」と説かれた。
カトリック信者の歩みを勇気づけ、その信仰を強めるというご自分の使命を示しながら、教皇はキリスト教共同体に対し国内で行う愛の事業を励まし、公的機関や他の諸宗教をはじめ、すべての善意の人々との協力のうちに、パプアニューギニアの共通善のために尽くしてほしいと願われた。
教皇は、多様な伝統を持つパプアニューギニアのすべての民族が、調和のもとに共に生き、兄弟愛のしるしを世界にもたらすことができるようにと祈られた。