シンガポール:教皇と諸宗教の若者たちの集い
教皇フランシスコのシンガポール訪問は、9月13日(金)、最終日を迎えた。
同国における最後の公式行事として、教皇はカトリック・ジュニア・カレッジで諸宗教の若者たちとの出会いを持たれた。
シンガポールの宗教人口比率は、仏教33%、キリスト教18%(カトリック3%)、イスラム教15%、道教11%、ヒンズー教5%、無宗教17%と、多宗教的構成になっている。
教皇との集いには、カトリックはもとより、様々な宗教に属する若者たちが参加。ヒンズー教と、シーク教、カトリックの若者各1名が、皆を代表して、「自分のコンフォート・ゾーンから抜け出すには」、「批評を恐れないためには」、「諸宗教間の対話を推進するには」などの問いを教皇に投げかけた。
教皇は、若者たちとの出会いでよく行われるように、原稿を用いることなく自由に語りかけられた。
この中で教皇は、「若者は勇敢で、真理に向かうことを好む」「若者は歩む存在であり、創造的である」と話しつつ、気をつけるべきことは、言葉だけの「サロンの中の批評家」に陥らないこと、と述べられた。
教皇は、「若者は批判的であるべきだ。しかし、批判において建設的であるべきだ。なぜなら、破壊的な批判や、何も新しい道を生まない批判もあるからだ」と語られた。
また、教皇は「若い人は物事を築く勇気を持たねばならない。そして、快適な状況から抜け出さなくてはならない」と述べ、「冒険しなさい。外に出なさい。怖がってはなりません」と呼びかけられた。
若者と携帯電話などのメディアとの関係について、教皇は、メディアを全く使わないと自分が閉じてしまい、メディアの奴隷になると自分を見失う、と指摘。若者たちにはメディアを用いる必要があるが、それを自分たちの成長を助けるために使わなければならない、と話された。
教皇は、シンガポールの若者たちについて驚くことは、その諸宗教間対話の能力である、と語られた。
もし「わたしの宗教は、あなたの宗教よりも重要だ」「わたしの宗教は本物で、あなたの宗教はそうではない」と言い出したら、それは何をもたらすだろうか、それは「破壊」であると、教皇は諸宗教間対話の大切さを強調。「すべての宗教は、神に到達するための歩みである」と説かれた。
教皇は集いの終りにすべての参加者と沈黙のうちに祈り、祝福を与えられた。