東ティモール:教皇「人々に深く根付いた信仰と神への信頼」

教皇フランシスコは、東ティモールを訪問、首都ディリの大統領官邸で同国の各界代表と会見された。

 東南アジア・オセアニア4カ国歴訪中の教皇フランシスコは、9月9日(月)、東ティモールに到着、同国での公式行事を開始された。

 訪問初日、教皇は、首都ディリの大統領官邸前で、ジョゼ・ラモス・ホルタ大統領と並び歓迎式典に臨まれた。

 この後、教皇は官邸内に大統領を表敬訪問し、記帳と会談を行われた。

 次いで教皇は、官邸のホールで、東ティモールの各界代表および駐在外交団と会見、スピーチを行われた。

 この席で教皇は、美しい山々や、森林、平野に彩られ、感嘆すべき海に囲まれたこの国が、近年まで、苦しみに満ちた期間を通り過ぎてきたことを思い起こされ、人々が目指す完全な独立と自治が否定され阻止される中で直面した激変や暴力を振り返った。

 1975年11月28日から2002年5月20日まで、すなわち、独立を宣言した日から独立を達成した日まで、東ティモールは受難と最も大きな試練を体験した、と教皇は述べつつ、東ティモールは苦しみながらも、再び立ち上がる力を持ち、平和の歩みを再び見出し、発展と生活の向上、天然資源と人材の活用という新しい段階を開いた、と話された。

 この悲劇的な時代を希望を失うことなく耐えしのび、暗く困難な日々を経て、ようやく平和と自由の日の出を見たことに、神に感謝を捧げよう、と教皇は招かれた。

 この重要な目標への到達を助けたものは、人々に深く根付いた信仰であると述べた教皇は、実際、1989年に東ティモールを訪れた聖ヨハネ・パウロ2世も、この国のカトリック信者たちの「福音に深く根差した家庭生活の伝統、文化、社会習慣」「真福八端の教えと精神に満ちた伝統」「神への謙虚な信頼」に言及していたことを回想された。

 一方、新しい地平が開け、黒い雲が過ぎ去った今日、向き合うべき新たな問題が持ち上がっていると教皇は指摘。資源の価値づけや、就業の機会と十分な収入の欠如が生む移民現象、多くの農村地帯で見られる貧困、若者たちの間に広がるアルコールの多飲や、ギャング団の暴力など、対応すべき課題を挙げられた。

 激動の時代に、忍耐強い決意と勇敢さをもって立ち向かった東ティモールが、今日、平和な民主主義的国家として生き、国際社会で近隣国と平和的な関係を築きながら、兄弟愛に満ちた社会作りに取り組んでいる様子を教皇はご覧になり、東ティモールは今日の問題にも知性と創造性をもって取り組んでいくことができるだろうと、信頼を寄せられた。

 教皇は、東ティモールの保護者、無原罪の聖母に、同国と国民を託して祈られた。

09 9月 2024, 17:51