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「キリストの香りを守り広げる」教皇、東ティモールの教会関係者に

教皇フランシスコは、東ティモールの首都ディリのカテドラルで、同国の教会関係者とお会いになった。

 教皇フランシスコは、東ティモール訪問2日目、9月10日午前、首都ディリのカテドラルで、同国の教会関係者とお会いになった。

 無原罪の聖母に捧げた、ディリ教区のカテドラルは、南東アジアでは最も大きいカトリック聖堂の一つ。1988年に完成し、翌年、ディリを訪問したヨハネ・パウロ2世によって献堂式が行われた。

 この日、教皇フランシスコとの出会いのために、同カテドラルには東ティモールの司教、司祭、助祭、修道者、神学生、カテキスタらが集った。

 東ティモールは、全人口の大部分、98%をカトリック信者が占める。このほか、プロテスタント、イスラム教などの信者がいる。

 教皇は東ティモールの教会関係者を前に、イエスがベタニアで香油を注がれたエピソードを引用しながら、キリストとその福音の香りという賜物を「守り」、「広げる」ことがわたしたちの使命と話された。

 香りに関連して、教皇は同国に生育するビャクダン(白檀)に言及。旧約聖書の中で、シェバの女王がソロモン王に贈った(参照 列王記上10,12)、この香り高く実をつける常緑樹のように、「皆さんはキリストの香りです」「あなたがたは聖霊によって香りづけられた、宣教的な使徒たちです」と述べられた。

 一方で、教皇は、主から受け取ったこの香りを失わないように大切に守る必要がある、と注意。そして、この賜物を自分のためではなく、主に注ぎ、福音を告げ、貧しい人に仕えるために用いることを忘れないように、と願われた。

 この国に宣教者たちが蒔いた福音の種を感謝のもとに振り返るだけでは足りない、信仰の火は常に燃え立たせる必要がある、と述べた教皇は、わたしたちは福音の新しいいのちの香りを他者にもたらすように召されている、と語った。

 マルコ福音書では、ベタニアのマリアは香油の入った石膏の壺を壊し、香油をイエスに注ぎかけた(参照 マルコ14,3)ことに教皇は注目しつつ、福音宣教は、わたしたちが香油の壺を壊す勇気をもった時、すなわち閉じた自分自身や生温い宗教感の殻を壊す勇気をもった時に実現する、と話された。

 教皇は、長いキリスト教の歴史に根ざした東ティモールは、今日福音宣教への新たな刺激を必要としている、と述べ、戦争の苦しみの後に和解と平和の香りを、貧しい人たちに憐みの香りを届けてほしいと希望された。

 そして、特に人間のいのちを侮辱し、破壊するすべてのものに対抗して、福音の香りを広げ、イエスの福音の力をもって、新しい社会を生み出すようにと、皆を励まされた。

10 9月 2024, 14:33