教皇フランシスコとシノドス参加者たち 2024年10月26日、シノドス第16回通常総会・第2会期、最後の全体会議で バチカン・パウロ6世ホール 教皇フランシスコとシノドス参加者たち 2024年10月26日、シノドス第16回通常総会・第2会期、最後の全体会議で バチカン・パウロ6世ホール  (Vatican Media)

最終文書の採択をもってシノドスの作業終了、教皇、関係者に挨拶

シノドスの作業は10月26日、最終文書の採択をもって終了した。教皇フランシスコは、すべての関係者に挨拶をおくられた。

 バチカンで開催されていた「共に歩む教会」をテーマにした「世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会」の第2会期は、10月26日、最終文書の採択をもってその作業を終了した。

 10月2日から始まった同シノドス・第2会期は、「宣教するシノドス的教会になるには」を命題に、第1週から第3週(~10月18日)にかけて、『討議要綱』に沿った作業が全体会議やグループ会議を通して行われた。

 最後の週では、前半(21日~23日)、最終文書のベース作りが行われた。閉会ミサを翌日に控えた26日午前、最終文書が読み上げられ、午後、それに対する採択が行われた。

 教皇はシノドスの作業の完了にあたり、すべての関係者に挨拶をおくられた。

 その中で教皇は、このたびのシノドスで採択された最終文書は、今の時代に「共に歩む教会」になるためにはどうしたらよいかをよりよく理解するため、神の民の声に努めて耳を傾けてきた、少なくとも3年にわたる年月の実りである、と話された。

 教皇はこの文書がもたらす様々な賜物を示しつつ、特にその一つは自身の教皇職にとっての賜物である、と強調。

 「兄弟姉妹たちを力づけてやりなさい…わたしの羊を飼いなさい」と絶えず話しかけるイエスに応えるために、教皇も傾聴の実践を必要とし、またそれを欲している、と語られた。

 この戦争の時代にあって、わたしたちは多様性の共存を実際に形にすることを学びながら、平和を証ししなければならない、と述べた教皇は、こうした意味も踏まえ、このシノドス後の「使徒的勧告」を発表する意図はないことを明らかにされた。

 最終文書の中には、様々な大陸、多様な状況における教会の宣教の指針となり得る、非常に具体的な示唆がすでにあると教皇は指摘。

 それゆえに、この文書をすぐに皆に公開し、神の聖なる民に手渡すことを通して、これまで行ってきたシノドスの歩みの価値を心に留めたいと思う、と話された。

 同文書に挙げられている教会生活のいくつかの側面や、10の「研究グループ」に提案を行うように託しているテーマをめぐり、教皇は、教会全体に関わる選択に到達するためにはまだ時間が必要であり、今後も司教らの意見に耳を傾けたい、との考えを示された。

 一方で教皇は、これは決定を無期限に先延ばしにするという意味ではなく、教皇自身にも、傾聴し、招集し、識別・決断・判断するというシノドス的スタイルの実践が求められると同時に、こうした過程には、時間と沈黙と祈りが必要とされるからである、と述べられた。

 この最終文書は神の民全体への賜物である、と強調する教皇は、当然すべての人がこの文書を読むわけではないが、地方教会において文書にある内容を人々の手の届くものにするのは特に皆さんの役割であると話された。

 同時に教皇は、経験に基づく証しを伴わない文書は価値を失ってしまう、とも述べ、文書が実質を失わないように注意を喚起された。

 暴力、貧困、無関心などの特徴を持つ世界のあらゆる地域から訪れたわたしたちは、失望させることのない希望をもって、それぞれの心に授けられた神の愛のもとに一致し、平和をただ夢見るだけでなく、そのために全力を尽くさなければならない、と教皇は呼びかけ、平和は傾聴と、対話、和解によって実現するもの、と励まされた。

 これらすべては、調和を作り出し、調和そのものであられる聖霊の賜物、とシノドス全体を振り返った教皇は、会議場を出た後もこの調和を保ち、復活されたキリストの息吹に助けられ、いただいた賜物を分かち合うことができるようにと祈られた。

 

26 10月 2024, 22:39