教皇、G7包括と障害担当閣僚会合の参加者らと
教皇フランシスコは、イタリアのウンブリア州で開かれていたインクルージョンと障害をめぐるG7閣僚会合の参加者らと、10月17日、バチカン宮殿でお会いになった。
10月14日から16日にかけて、ウンブリア州のアッシジとソルファニャーノを会場に、「包括と障害」をテーマにした初の閣僚級会合「G7インクルージョンとディスアビリティー」が開催された。
この会合は、障害者を含むすべての人に市民的・社会的・政治的生活への完全な参加の権利を保証するための政策や取り組みを広く共有することを目的に行われた。
初日10月14日には、アッシジの聖フランシスコ大聖堂前で、市民や団体の参加のもとに歓迎イベントが催され、ブースにおいて様々な包括プロジェクトが紹介された。
15日には、ペルージャの北郊外ソルファニャーノに会場を移し、各国の使節や、諸機関・組織の代表が参加し、準備会議としてのパネルディスカッションが行われた。
最終日16日には、ソルファニャーノで、G7のメンバー国、およびEU、その他の国々の包括と障害を担当する閣僚らによる会合が開催された。
サミット終了翌日、17日、同会合の参加者らは、バチカンを訪問し、教皇フランシスコとの出会いを持った。
教皇との集いには、同G7に日本から参加した三原じゅん子・内閣府特命担当大臣(障害者施策担当)と、千葉明・駐バチカン日本国特命全権大使も出席した。
教皇はこの席で、障害者の尊厳と権利の推進に対する関係者の努力に、感謝と敬意を表された。
このたびウンブリアで開催されたG7では、インクルージョン、利用のしやすさ、自立した生活、個人の能力を引き出すことなど、基本的テーマをめぐる会合の成果として、「ソルファニャーノ憲章」に署名が行われたことに教皇は言及。
事実、一人ひとりが普遍的な家族の不可欠な一員であり、誰一人、偏見を生み社会に害をもたらす「切り捨ての文化」の犠牲になってはならない、と述べられた。
教皇は、障害者のインクルージョンが、すべての国において優先事項として認識される必要を強調。
「最も弱い立場の人々の貢献なくして、人類の真の発展はない」と述べながら、この意味において、普遍的なアクセシビリティは、物理的、社会的、文化的、宗教的なあらゆる壁が取りのぞかれ、それぞれの人が自分の才能を活かし、共通善に貢献できるようになるまで、また、それが幼年期から高齢期まで人生のあらゆる段階で実現されるまで、追求すべき大きな目標であると話された。
教皇は、障害者が偏見から解放され、人生の道を自ら選択できるように協力することの重要性を示しつつ、一人ひとりの能力を最大限に活かし、労働や、文化、スポーツへの参加から、誰も排除することがないようにと願われた。
また、教皇は新しいテクノロジーについて、誰もがアクセスできるようにするならば、それは包括と参加のための強力な道具になり得ると指摘。
テクノロジーが、共通善と、出会いと連帯の文化への奉仕を志向し、不平等を助長することなく、むしろ不平等を打ち破る手段となるように、その賢明な利用を望まれた。
さらに、教皇は、気候危機や紛争と結びついた人道的な緊急事態が、障害者を含む、最も弱い立場に置かれた人々に過度の損害をもたらすことを無視することはできないと述べ、こうした状況において、障害者が取り残されることなく、保護され、適切な支援を受けられるようにすることは、わたしたちの義務である、と語られた。
「皆さんの仕事は、障害を持つ人々を忘れがちな世界に対する希望のしるしです」と話された教皇は、「一人ひとりが、社会にとって大切な贈り物である」という信念と確信のもとにこの道を歩み続けるように関係者らを励まされた。