教皇「人々の苦しみから目を背けることがないように」
11月17日(日)、カトリック教会の2024年度の「貧しい人々のための世界祈願日」が記念された。
教皇フランシスコにより創設された同祈願日は、今年で第8回目を迎えた。
この朝、教皇フランシスコは、この祈願日のために、バチカンの聖ペトロ大聖堂でミサをとり行われた。
聖堂内は、同日午後、パウロ6世ホールで行われる教皇との昼食会に招かれた貧しい人々や、これらの人々に日頃奉仕するボランティアの人たちでいっぱいになった。
ミサの説教で教皇は、この日の福音朗読箇所、マルコ福音書13章、大きな苦難の後に人の子が来ることをイエスが予告する場面(マルコ13,24-32)を観想された。
この箇所で語られる言葉はわたしたちに不安を与えるかもしれないが、実は、それは希望の大いなる予告である、と教皇は述べ、すべてが終わりだと人々が思う絶望と闇の時、その最も暗い瞬間に訪れ、わたしたちに近づき、救う神の存在をイエスは告げている、と話された。
苦悩と希望、それはいつもわたしたちの心の中でせめぎあっているが、飢えに苦しむ多くの兄弟姉妹や、戦争の恐怖、無実の人々の死など、これらの出来事だけに目を止めるならば、わたしたちの心は苦悩と絶望に陥り、歴史の激動の中におられる神の存在に気づくことはないかもしれない、と教皇は指摘。
しかし、まさにこの黙示録的な状況において、イエスは希望の火を灯し、地平を開いてわたしたちの眼差しを広げ、このような世界の苦しみの中でわたしたちに寄り添い、救いのために働かれる神の愛を受け入れることを教えてくださる、と説かれた。
イエスにおいて成し遂げられ、その御国において実現するキリスト教的希望は、わたしたちの、慈愛において休むことがない信仰、人々の苦しみから目を背けることのない態度を必要としている、と教皇は強調された。
そして、世界的な貧困の深刻な問題を見つめるだけでなく、生活スタイルを見直すことや、環境を大切にすること、正義の追求や、自分たちが持っているものを貧しい人たちと分かち合うことなど、日常の小さな行為を通して、わたしたちを取り巻く現実をより良くしていくことが必要、と述べられた。
まずは教会があり、次に貧しい人の世話、という考えに陥らないように、なぜなら、貧しい人に奉仕するそのあり方を通してイエスの教会は形作られ、教会自身、すなわち「あらゆる人に開かれ、すべての人の人生に対する神の憐れみの場所」となることができるからである、というカルロ・マリア・マルティーニ枢機卿の忠告を教皇は思い起こされた。
そして、教会と、各国政府、国際機関に向け、「貧しい人たちを忘れないようにしましょう」と呼びかけられた。