「今、無関心でいる時間はない」教皇、COP29にメッセージ
教皇フランシスコは、アゼルバイジャンの首都バクーで開催されている第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)にメッセージをおくられた。
教皇のメッセージは、11月13日、COP29に出席したバチカンの国務長官、ピエトロ・パロリン枢機卿によって読み上げられた。
この中で、COP29の参加者らに精神的な寄り添いを表された教皇は、同会議が、自らの利益に固執する態度を超えた視点を持ち、人類のための善と、神がわたしたちに世話と責任を委ねられた「共に暮らす家」を中心に据えることができるようにと励まされた。
もはやこれ以上の遅れは許されないこと、被造物の保護が今日の最も急務の課題の一つであることを、科学的データは明らかに示している、と教皇は述べた。
同時に教皇は、環境保全が平和の維持と緊密に結びついている事実を認識するように招かれた。
教皇は、多国間の機関への失望と、壁を築く風潮が高まる中でこのCOP29が開催されたことに触れ、相互に繋がった同じ地球村の唯一の家族の一員として行動、生活すべきところに、個人、国家、権力集団のエゴイズムが不信と分裂の傾向を煽っている、と警告された。
社会のグローバル化によって、わたしたちは互いに近寄ったが、兄弟になることはなく、経済発展によって、不平等が解消されることもなかった、と教皇は指摘。
むしろ最も弱い立場の人々の保護を犠牲にしながら、一部の利益や関心が優先され、環境問題の悪化が加速していった状況を見つめられた。
こうした中、教皇は、より豊かな国々に対し、返済が不可能と思われる国々の債務を放棄するよう、2025年の聖年を前にして行ったアピールをここでも改めて繰り返された。
軌道を修正し、真に人間的で包括的な統合的発展のサイクルを追求するための、人的・技術的資源をわたしたちは持っている、と述べた教皇は「軌道修正はいつでも可能であり、問題解決のためにいつでも何ができる」という事実において、人類の能力に希望を見出すべき、と強調。
「今、無関心でいる時間はない。自分は関係ないと、距離を置き、構わないでいることはできない。これは今世紀の正真の課題である」と訴えられた。