「希望を手放してはならない」教皇、ローマの刑務所の聖年の扉開く
教皇フランシスコは、聖年の幕開けに伴い、ローマの刑務所の「聖なる扉」の開門式を行われた。
2025年の聖年開幕のため、12月24日、主の降誕の夜半ミサでバチカンの聖ペトロ大聖堂の「聖なる扉」を開かれた教皇は、2日後の26日、レビッビア刑務所の「聖なる扉」を開け、希望をテーマとする聖年の訪れを受刑者たちにも告げられた。
教皇フランシスコがローマのレビッビア刑務所を訪問したのは、聖木曜日の「主の晩餐」ミサを「複合施設(通称:新館)」で司式した2015年4月と、同じく聖木曜日に「女子部」でミサを捧げた2024年4月に続き、これで3度目となった。
この聖年において、教皇が初めて刑務所内で「聖なる扉」の開門を行うきっかけとなったのは、「聖年が始まると言っても、自分たちに何か特別なことでもあるのだろうか」という受刑者たちが発した率直な問いを、ローマ教区補佐司教でレビッビア刑務所の司牧に携わるベノーニ・アンバルス司教が、教皇に伝えたことだという。
26日朝、レビッビア刑務所を訪れた教皇は、「聖なる扉」の開門の儀式をとり行われた。
このたび聖年の「聖なる扉」として教皇が開かれたのは、同刑務所「新館」にある「パードレ・ノストロ(われらの御父)教会」のブロンズ製の扉。教皇は外から扉を叩かれ、開いた扉からゆっくり入場された。
教皇に続いて、アンバルス司教と、男女の受刑者と刑務官の代表、木の十字架を掲げた司祭たちが扉をくぐり、聖堂内の中央通路を祭壇に向かって歩んだ。その両脇の席では、受刑者をはじめ、刑務官、改善更生・訓練教育担当者ら約300名がこの入祭を見守った。
次いで行われたミサの説教で、教皇は「わたしは今日ここで聖なる扉を開くことを望みました。最初に聖ペトロ大聖堂の扉を開き、二番目に皆さんの扉を開きました」と話された。
「開く、開け放つ、とは素晴らしい行為です。たとえば、扉を開くことです。しかし、一番大切なのはそれが意味すること、すなわち心を開くということ、中でも心を希望に向かって開くことです」と教皇は述べ、「希望はわたしたちをあざむくことがありません」(参照 ローマ5,5)と強調された。
教皇は、「希望とは、岸につなぎ留めるための錨(いかり)のようなもので、わたしたちはロープで陸地とつながっているのです。希望を手放してはなりません。これはわたしたち皆へのメッセージです」、「時にはロープが固くて手が痛くなるかもしれません。しかし、ロープをしっかりと握りしめ、岸を見つめてください。錨がわたしたちを岸に近づけてくれます」と説かれた。
教皇は関係者一同に、素晴らしい聖年と大いなる平安を願い、受刑者らのために毎日の祈りを約束された。