教皇「全社会に希望を広げるボランティアの人々の献身」
ボランティアの世界を対象とした聖年の一連の行事が、3月8日から二日間、バチカンとローマ市内を会場に行われた。
9日、バチカンでボランティア界の聖年の記念ミサが、教皇庁総合的人間開発省長官、マイケル・チェルニー枢機卿の司式で捧げられた。
ミサ会場となった聖ペトロ広場は、イタリアをはじめ、世界各国から訪れたおよそ3万人のボランティア関係者らが身につける蛍光色の帽子やユニフォームで彩られた。
ミサの中では、入院中の教皇フランシスコが用意した説教がチェルニー枢機卿によって読み上げられた。
復活祭の準備期間、四旬節に入って最初の日曜日、教皇は、イエスが”霊”に導かれて荒れ野に行かれたエピソード(参照ルカ4,1-13)を取り上げながら、「イエスは荒れ野を横切り、わたしたちのためにそれを変容される。わたしたちもイエスに従い荒れ野に入ることで、四旬節の歩みは始まる」と述べている。
荒れ野で、まことの人間であるイエスは空腹を覚えられ、四十日間、悪魔から誘惑を受けられた。「わたしたちも四旬節に入ったばかりであるにも関わらず、すぐに誘惑を受けるが、わたしたちは一人ではなく、イエスがついておられ、荒れ野に道を開いてくださる。人となられた神の御子は、悪と戦う模範だけでなく、悪の攻撃に耐え、歩み続ける力を授けてくださる」と教皇は記している。
「わたしたちが神との関係において誘惑にさらされる時、悪魔は耳元で、神は本当はわたしたちの御父ではない、神はわたしたちを見捨てたのだ、とささやく」と教皇は述べつつ、「世界が邪悪な力の手中に囚われ、悪がその計算高い横暴さと戦争の暴力で人々を蹂躙する時、悪は神はわたしたちから離れた存在だと信じさせ、わたしたちを絶望に陥れるが、そのような時にこそ、神はよりわたしたちに近づかれ、ご自身のいのちを世界の贖いのために捧げられる」と強調された。
「イエスと荒れ野を横切り、道のない場所を行く時、イエスご自身がわたしたちに解放と贖いの新しい道を切り開かれる。信仰をもって主に従うならば、さすらいの旅は巡礼となる」と教皇は説いている。
イエスの模範に倣い、人に仕えさせるのではなく、人に仕え、病者や、苦しむ人々、受刑者、若者、お年寄りたちに寄り添うボランティアの人々の献身は、社会全体に希望を広げるもの、と述べ、教皇はボランティア界の人々に深い感謝を表された。