教皇「自らの人生を寛大に捧げ、希望の巡礼者となろう」
「第62回世界召命祈願の日」に向けて、教皇フランシスコのメッセージが発表された。
カトリック教会は、「善き牧者の主日」と呼ばれる復活節第4主日に「世界召命祈願の日」を記念する。この日は、特に司祭や修道者への神の招きに、より多くの人が応えることができるように、またそれぞれの信者がキリスト者として自らの召命を見出せるように、全教会が祈りを捧げる。
今年5月11日(日)に記念される同祈願日のテーマは、「希望の巡礼者:人生の贈り物(仮訳)」。
教皇はこのメッセージで、自らの人生を寛大に捧げることで「希望の巡礼者」となるように、喜びと励ましのうちに呼びかけている。
「召命とは、神が心の中に種を蒔かれる尊い贈り物、愛と奉仕の歩みを始めるために自分自身の外に出るようにとの呼びかけ」であると教皇は述べ、その召命が信徒としてのものであっても、また聖職者や奉献生活者のものであっても、「教会の中のあらゆる召命は、神が世界とご自分の子らに抱いておられる希望のしるしである」と説いている。
教皇は、まず「自らの召命を受け入れる」ことの大切さに触れながら、「すべての召命は、希望により生かされ、それは摂理への信頼へとつながっていく」、「キリスト者にとって希望を持つとは、単に人間的な楽観ではなく、むしろ、各自の人生の中で働かれる神への信仰に根差す確信と言える」と記している。
そして、若者たちに向け、「神における希望は欺かない。なぜなら、神はご自分に信頼する者の一歩一歩を導いてくださるからである。希望の巡礼者として、勇気をもって自らの人生をキリストに捧げる若者たちを、世界は必要としている」と励ましをおくっている。
次に教皇は「自らの召命の歩みを識別する」ことをめぐり、「召命の発見は、識別の歩みを通してもたらされる。その道のりは決して孤独なものではなく、キリスト教共同体の中で、共同体と一緒に発展していく」と、召命を個人だけの問題ではなく、共同体のものとして思い出させている。
「深い潜心は、わたしたちが自分の人生を贈り物とするならば、誰もが希望の巡礼者となれることを教えてくれる」と、教皇は心に語りかける神に沈黙と祈りの中で耳を傾けるよう若者たちに助言している。
さらに、「神の呼びかけに耳を傾ける人は、疎外され、傷つけられ、見捨てられたと感じている多くの兄弟姉妹たちの叫びを無視できない。すべての召命は、光と慰めを最も必要とする場所でキリストの現存となる使命へと開かせる。特に信徒は社会的・職業的な努力を通し、神の国の『塩、光、パン種』となるよう召されている」と、すべてのキリスト者の召命に言及している。
最後に教皇は「召命の歩みに寄り添う」ことについて、司牧・召命担当者、特に霊的指導者らに対し、希望と忍耐強い信頼をもって若者たちの歩みを神の教育法に委ね、彼らを助けながら、その歩みに神のしるしを注意深く認める、信頼できる賢明な指導者となるようにと願われている。
「キリストに従うことがすなわち喜びの源泉であると、自らの生き方を通して告げる、希望の証し人を世界はしばしば無意識のうちに求めている」と述べた教皇は、収穫のために働き手を送ってくださるように絶えず主に祈りつつ、「福音の道を常に希望の巡礼者として歩んで行こう」と皆を招かれている。