信徒・家族・生命省:スポーツと人間をめぐる文書発表
教皇庁信徒・家庭・いのち省は、このたびスポーツと人間をめぐる文書を発表。教皇フランシスコは、これを機会に同庁長官に書簡をおくられ、その中でスポーツの持つ豊かな精神的価値を強調された。
教皇庁信徒・家庭・いのち省(長官:ケビン・ジョセフ・ファレル枢機卿)は、6月1日、スポーツと人間をキリスト教的視点から考察した文書「ダーレ・イル・メッリョ・ディ・セ(ベストを尽くす、の意)」を発表した。
全5章、50ページからなる同文書は、次のように構成される。
第一章:当文書作成の動機と目的
1.1当文書作成の動機
1.2今日までの教会とスポーツ
1.3当文書の目的
第二章:スポーツの現象
2.1近代スポーツの誕生
2.2スポーツとは何か
2.3スポーツの背景にあるもの
第三章:人間にとってのスポーツ
3.1身体、魂、精神
3.2自由、規則、創造性、協力
3.3個人主義とチーム
3.4努力
3.5喜び
3.6調和
3.7勇気
3.8平等と尊重
3.9連帯
3.10人生の究極の意味の追求へと開くスポーツ
第四章:福音の光に照らした挑戦
4.1人間的で正義あるスポーツ
4.2よいスポーツのための責任の分かち合い
4.3スポーツ発展のための4つの課題
-身体に対する軽視
-ドーピング
-収賄
-ファンと観客
第五章:教会の重要な役割
5.1スポーツにおける教会
5.2教会におけるスポーツ
5.3スポーツ司牧の環境
5.4スポーツにおける司牧者の養成
5.5スポーツを通した司牧計画のための基本要素
結び
教皇は、信徒・家庭・いのち省の長官、ファレル枢機卿に向けた書簡の中で、スポーツの世界で教会が果たす役割を明らかにすると共に、スポーツが出会いと育成、宣教と聖化のための手段となることを示した、同文書の発表に喜びを表された。
個人主義と切り捨ての文化が広がる今日、スポーツは、民族、性別、年齢、宗教、イデオロギーの違いを超えて出会い、互いに同じ目標に向かって励む喜びを体験するための、またとない環境であると教皇は指摘。
お父さんと子どもが一緒に公園や学校で遊ぶ時、一人の選手が支えてくれた人々と共に勝利を祝う時、ここに交わりと出会いの場としてのスポーツの価値を見出すことができると記された。
また、スポーツは人間の成長に寄与するものと述べた教皇は、こうしたことからスポーツ選手らが若者たちに与える影響に言及。
すべてのスポーツ選手たちに、寛大さと自己犠牲、固い信念と快活さの模範となり、チームワーク、尊重、健全な競争心、他者に対する連帯に貢献するよう願われた。
教会はこの世においてイエス・キリストのしるしとなるよう召されていると教皇は説きつつ、キリストを直接告げることのできない所に、スポーツを通してキリストに導く道を開き、神に支えられて自己のベストを尽くすことが、いのちの充満と聖性へとつながるようにと期待された。