マカリック・レポート、教会が学ぶべき痛ましい教訓
VATICAN NEWS
昨年、聖職者の位を解かれたセオドア・マカリック元ワシントン大司教・元枢機卿に関するレポートが、教皇フランシスコの委託のもと、国務省により作成され、11月10日、発表された。ボリュームあるこの報告書は、完成のために2年を費やした。
同レポートは、未成年者および成人に対する性的虐待の罪を犯したマカリック事件を深く解明しようという教皇フランシスコの取り組みに応えるものである。また、これは、この事件に傷つき動揺する、米国のカトリック共同体への関心を表す行為でもある。
同レポートからは、いくつかの動かしがたい点が浮かび上がる。まず、過去に犯された誤りについてである。その過ちは、一人の犯罪責任者を、教会の位階において高い役務につけることを可能としてしまった。その誤りは、今後同様のことが繰り返されないようにと、教会においてすでに施行されている、新しい規則をもたらすことになった。
次に指摘されるのは、2017年まで、マカリック師(当時)による未成年者への虐待をめぐり、具体的な証拠を備えた告発はなかった、という点である。未成年者をめぐる、十分な証拠の揃った最初の告発は、3年前のものであり、それによって直ちに教会法上の措置がとられた。そして、教皇フランシスコの決定により、まず同師の枢機卿の位が取り上げられ、その後、聖職からも解かれる、という結果に至った。
この事件は、教会全体が学ぶべき痛ましい教訓を残すことになった。実際、2019年2月に開催された、「教会における未成年者の保護」のための司教会合後、教皇フランシスコによってとられたいくつかの対応の中には、未成年者への性的虐待のケースに関し、「教皇レベルの機密」を廃止するなどの処置が見られた。
バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿は、今回のレポートをめぐる声明で、「レポートの量と、多数の資料、その内容からもわかるように、これは真理の追究に動かされたものです」と述べている。
そして、「苦しみには、希望の眼差しが伴います。このようなことが二度と繰り返されないためには、より効果的な規則と共に、心からの回心が必要です。福音を告げる、信頼に足りる司牧者たちが必要です。これらは、『わたしを離れては、あなたがたは何もできない』というイエスの言葉に信頼しつつ、ただ聖霊の恵みによってのみ可能であることを、わたしたちはしっかり自覚しなくてはなりません。」と同枢機卿は話した。