教皇、ローマのアベンティーノで「灰の水曜日」の伝統儀式
カトリック教会の典礼暦で、復活祭の準備期間「四旬節」に入った2月26日(水)、教皇フランシスコは、ローマ市内の聖サビーナ教会で、「灰の水曜日」の伝統儀式をとり行われた。
「四旬節」は、公生活に入る前のキリストが「霊」に導かれ、荒れ野に行き、40日間の断食を行ったことを思い起こすもので、信者はこの間、悔悛・祈り・断食・節制・施し・愛徳の業などを通し、キリストの復活の記念によりふさわしい形であずかれるよう精神的準備を行う。
「四旬節」の初日は「灰の水曜日」と呼ばれ、この日、教会では、各々が死と痛悔の象徴である灰を受ける、「灰の式」がとり行われる。
この儀式には、前年の「受難の主日(枝の主日)」(復活祭直前の日曜日で、聖週間初日)に祝福された枝を燃やした灰が用いられる。司祭はその灰を聖水で祝別し、「あなたはちりであり、ちりに帰る」
(創世記3,19)、または「回心して福音を信じなさい」(マルコ1,15)という言葉をもって、信者の頭や額に灰で十字のしるしをする。
この日の夕方、教皇による「灰の水曜日」の一連の儀式は、ローマのアベンティーノの丘の教会群の間で行われた。
まず、聖アンセルモ教会での祈りと共に、宗教行列が出発。諸聖人の連祷が響く中、行列は聖サビーナ教会へと向かった。
到着した聖サビーナ教会で、教皇はミサを捧げられ、この中で「灰の式」をとり行われた。
説教で教皇は、四旬節は人々に無用な道徳主義を投げかけるための時ではなく、
惨めな塵に過ぎないわたしたちが、神に愛されていることを知るための時である、と強調。
四旬節とは恵みの時、わたしたちに注がれる神の愛の眼差しを受け入れ、生き方を変える時、と述べられた。
「わたしたちは、灰からいのちへと歩むために、この世にいます。それゆえ、希望を燃やしてしまうことがないように、神がわたしたちに与えてくださったしるしを灰に帰することがないように、決してあきらめてはなりません。」
「世の中が悪い方に向かい、恐怖が広がり、多くの悪意があり、社会が非キリスト教化しつつある時、どうして信頼できようか、とあなたは言うかもしれない。しかし、神はわれわれの塵を栄光に変えることがおできになると、あなたは信じないのでしょうか。」
教皇はこのように説かれた。
説教に次いで行われた「灰の式」で、教皇は、聖サビーナ教会を名義教会とするジョセフ・トムコ枢機卿から、頭に灰を受けられた。
この後、教皇は、トムコ枢機卿そして他の参加者らの額に、灰で十字のしるしを与えられた。