教皇、聖地の武力衝突に深い憂慮、早急な対話の必要訴え
教皇フランシスコは、5月16日(日)、正午の祈りの集いで、聖地の情勢に深い憂慮を表された。
イスラエルとパレスチナ間の軍事衝突がここ数日の間に拡大し、多数の死者・負傷者を出していることに対し、教皇は、憎しみと復讐を捨て、対話と赦しの道を歩むよう、改めて次のように訴えられた。
**********
親愛なる兄弟姉妹の皆さん
深い憂慮のもとに、今、聖地で起きていることを見守っています。
ここ数日、ガザ地区とイスラエル間の武力衝突は激しさを増し、死と破壊の連鎖が生まれつつあります。大勢の人が負傷し、たくさんの無実の人が亡くなりました。
犠牲者の中には子どもたちも含まれます。これは恐ろしく、またあってはならないことです。子どもたちの死は、未来構築への意志ではなく、破壊への意志の表れです。
それだけではありません。イスラエルの様々な地域に広がりつつある憎しみと暴力は、市民間の友愛と平和な共存を深く傷つけるものです。早急に対話の道を開かないならば、それを癒すことは容易ではないでしょう。
憎悪と復讐はどこに向おうとしているのでしょうか。他者を傷つけながら、平和が築けると、わたしたちはほんとうに考えているのでしょうか。
「神の名のもとに、すべての人間は、権利・義務・尊厳において平等に創られ、互いに兄弟として共存するよう召されています」(参照 文書「世界平和のための人類の兄弟愛」)。
武力を停止し、国際共同体の助けのもとに、平和の道を進むよう、責任者らに呼びかけたいと思います。
イスラエルとパレスチナの人々が、対話と赦しの道を見出し、共通の希望と兄弟間の共存に向かって、一歩一歩自らを開きながら、平和と正義の忍耐強い構築者となることができますように。
子どもたちをはじめ、すべての犠牲者のために、平和の元后マリアに祈りましょう。